「今ある仕事だけやってればいいんだ」改善案を握り潰した上司。他部署のトラブルで状況が一変
機嫌で揺れる職場の空気
数年前に勤めていた職場は、社内の雰囲気自体は悪くない場所でした。
淡々と仕事ができる日々の中で、私は四十代の中堅として黙々と業務をさばいていたのです。
同じチームの直属の課長だけは、その日の機嫌で態度が大きく変わる人でした。
朝の挨拶を返す声色から、その日の地雷の位置を読み取る習慣が身についていったのです。
少しでも意に沿わない発言をすると、周囲に分かるように圧をかけ、こちらの担当業務を増やしてくることがありました。
理由は最後まで説明されないまま、予定だけがじわじわ膨らんでいきます。
業務改善の案を直接持っていったときも、書類は開かれもしないまま戻されました。
返ってきた一言は短く冷たいものでした。
「今ある仕事だけやってればいいんだ」
手帳に積まれていった記録
その数日後、別のメンバーから同じ趣旨の意見が出ると、課長は穏やかな顔でうなずきました。
さきほど切り捨てた話が、別の人の名前で通っていくのを横で見ているしかありません。
悔しさを言葉にする気力もなくなり、私は手帳に記録だけを残すようになりました。
気になるメール、対応が止まっている案件、関係者の発言。提出予定はなく、自分用の覚書のような形でした。
そのなかでひとつ、特に重い案件がありました。
他部署とのやり取りが曖昧なまま放置されたメールで、近いうちに揉める予感が強くなっていったのです。
私は手帳の情報を整理し、対応の優先順位と業務フローの改善案を一枚の紙にまとめました。
誰にも見せず、机の引き出しの奥に置いておきます。万が一の保険のつもりでした。
会議室で出された一枚
一週間ほど経った頃、その案件はとうとう他部署との間で実際のトラブルになりました。
緊急の対応会議が組まれ、現場で一番経緯を把握していた私が呼び出されたのです。
私は手帳と一枚の改善案を、そのまま机の上に並べました。
日付ごとに整理されたメールの抜粋、対応が止まった理由、再発を防ぐための業務フロー案を順に説明していきます。
「これは誰の記録ですか」
他部署の責任者から問われ、私の手元の手帳だと答えると、室内の視線が一斉にこちらへ向きました。
同席していた課長は何も言わず、ただ机の縁を見つめています。
会議の決定で、私の提案書をもとに業務フローの正式な見直しが始まることになりました。
複数部署をまたいだ対応として、後日、改めて運用ルールが組み直されていったのです。
その日以降、課長の態度は少しずつ穏やかになりました。当てつけのような業務追加も、機嫌任せの圧もほとんど見かけません。
記録と紙一枚が、飲み込んでいた言葉の代わりに動いてくれた気がしています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














