「この企画、私が作ったのに」他人の頑張りを横取りする上司。だが、クライアントの一言に救われた話
数ヶ月かけた企画が、会議で「私たちの仕事」にされた
機嫌によって態度が変わる直属の課長のもとで、私はずっと不安定な気持ちを抱えながら働いていた。
顔色を読みながら業務をこなす日々で、いつの間にかそれが普通になっていた。それでも、担当した企画には全力を尽くした。
リサーチから提案書の完成まで、数ヶ月かけて一人でやり遂げた仕事だった。
業界動向の調査から競合比較、提案の根拠まで、全部自分で積み上げた資料だった。
クライアントへのプレゼン当日、課長は「私たちが検討を重ねた結果です」と言いながら、私の提案内容を淡々と説明していった。
自分の言葉で積み上げてきた内容が、まるで共同作業のように語られていく。同席していた私は、ただ聞いているしかなかった。
(この企画、私が作ったのに)
その思いを飲み込んで、会議の間ずっと資料に視線を落としていた。
終わった後も、胸の中のしこりは消えなかった。課長に直接言えるはずもなく、どうにもならないモヤモヤを引きずったまま数日が過ぎていった。それだけに、次に起きたことは思いがけない形での決着になった。
クライアントが電話口で放った一言が、空気を変えた
後日、そのクライアントの担当者から企画の詳細について確認の電話があった。
まず課長が出たが、少し間があいた後で私の方を振り向いた。受話器を手で押さえて「対応してもらっていい?」と小声で言ってきた。
「〇〇さんが担当ですよね?」
クライアントの担当者がそう聞いてきたのだという。
手柄を取った張本人が、本人に細かい内容を聞かれて答えられなかったのだ。私は受話器を受け取り、企画の背景から提案の意図まで一つひとつ説明した。
自分の言葉で組み立てた企画だから、どんな質問にも迷いなく答えられた。質問の一つひとつに、理由と根拠がはっきりある。それが自分の仕事だという実感があった。
ひととおり話し終えると、クライアントの担当者がはっきりと言った。
「説明がとても分かりやすかったです、ありがとうございます」
電話を終えて受話器を置いたとき、課長は何も言わなかった。私の方を見ることもなく、デスクに向かったまま黙っていた。
その沈黙が全てだった。
誰かに認めてもらいたかったわけではない。ただ、自分が積み上げてきた仕事が、ちゃんと自分の言葉で届いた。
それだけで十分だった。課長が機嫌悪い日に顔色を読んでいたあの日常が、少しだけ遠くに感じられた。その瞬間だけは、胸の中がすっと軽くなった気がした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














