「なんで、みんな見てるの?」帰りの電車で感じた謎の視線。だが、近くの女性の会話で、私の間違いに気づいた
視線の意味がわからなかった
仕事帰りの電車に乗り込んで、席に座ってイヤホンを差した。
音楽はなし。
ただ外の雑音を遮りたくて、半ば習慣のようにしている。
窓の外が暗くなるにつれ、頭の中がようやく動き始める気がしていた。
しばらく窓の外を眺めながら、頭の中でいろんなことを考えていた。
今日起きたあれこれ、明日やること、帰ったら何を食べようか。思考がぐるぐると巡る中、ふと向かいの席の男性がこちらをまっすぐ見ているのに気づいた。
(なんで、みんな見てるの?)
視線が重なると、すっと逸らされた。
隣の女性も何か気になるようなそぶりを見せていた。
何か変なところがあったのかな、と軽く思いながらイヤホンを外した。
そのとき、近くの女性の会話が聞こえた。
「あの人、独り言ヤバくない?」
誰のことを言っているのか、すぐにはわからなかった。
直後、自分の口からも何かの言葉が漏れているのに気づいた。
境目が消えていた
頭の中で考えていたことが、そのまま口から漏れていた。
独り言として、普通の声量で。何駅分続いていたのかわからない。
隣の女性が話していた相手は、私のことだった。
向かいの男性は表情を変えずにいたけれど、視線がときどきこちらに走るのが見えていた。
恥ずかしさより先に来たのは、冷えるような感覚だった。
自分が声を出していることを、まったく認識していなかった。
でも、こんなふうに自分の制御が効かなくなるとは思っていなかった。
あれだけぼんやりしていた頭が、少しずつ現実に引き戻されていく感覚は妙にゆっくりとしていた。
(自分では気づけないまま、どこかがずれていくんだ)
そう思ったとき、車内の喧騒がやけに遠く聞こえた。
誰も何も言わなかった理由が怖い
誰かに言われる前に自分で気づけたのは、ある意味よかったのかもしれない。
でも、その事実がまた怖かった。
気づけなかった時間が確かにあった。その間、周りは全員知っていて、私だけが知らなかった。
疲れが蓄積すると、人は自分でも気づかないまま何かが変わっていく。あの夜の電車で感じた恐怖は、そういうことを教えてくれた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














