「数千万だよ。心配しないほうがおかしいでしょう」使途不明のお金の説明をしない夫→我慢出来ずに子供を連れて家を出た結果
消えていったお金
夫が安定した公務員を辞め、友人の建設会社で経理を始めて、半年が過ぎた頃だった。
帳簿の数字が、どうにも合わなくなっていた。
取引先の入金や、出資として預かったお金が、いつの間にか消えている。
何度計算し直しても、つじつまが合わない。その額は、合わせて数千万円にのぼった。
「ねえ、このお金、どこにいったの?」
夫は新聞から顔も上げずに答えた。
「何も問題ない、信じてる」
三人の子どもがいる我が家で、それは到底聞き流せる言葉ではなかった。
あいつを、と続けた夫の声は、妙に落ち着き払っていた。
「問題ない、って、説明できないだけじゃないの?」
夫は答えなかった。
届かない言葉
不安が膨らむほど、私は夫に問いかけた。
けれど、夫の答えは変わらなかった。三人の子の食費も、これからの学費も、すべて宙に浮いたままだった。
「友人を信じるのもわかる。でも、家族の生活がかかってるの」
「お前は心配しすぎなんだよ」
「数千万だよ。心配しないほうがおかしいでしょう」
夫は私の目を見ようとしなかった。お金が消えたことより、何も語らず、向き合おうともしないその態度に、私は深く傷ついた。
「せめて、何が起きてるのか教えて」
「大丈夫だから、黙ってろ」
その一言で、私の中の何かが、静かに決まった。説明できない人に、これ以上は預けられない。守るべきは、目の前で眠る三人の子どもたちだった。
私の判断を裏づけた報せ
私は子どもたちを連れて、家を出る決意をした。
夫は引き止めたが、最後までお金のことは語らないままだった。
「説明してくれないなら、私は自分で決める」
夫は口を開きかけて、力なくうなだれた。あれほど「信じてる」と言い張っていた顔から、強気は消えていた。
離婚から数か月後、共通の知人が、声を落としてそっと教えてくれた。
「あの会社の代表、連絡が取れなくなったって」
夫が最後まで信じ抜いた相手は、消えたお金も、立ち上げた会社も、すべてを残して姿を消したという。
それを聞いた夫が今どうしているのかは、もう知らない。あのまま一緒にいたら、子どもたちの未来まで巻き込まれていたかもしれない。そう思うと、ぞっとした。
今、私は子どもたちと三人で暮らしている。慎ましくても、嘘や不安に怯える夜はもうない。
「ママ、見て、テストで百点取ったよ」
得意げな声に、私は心から笑う。あの日、夫の「大丈夫」を信じず、子どもたちの手を取って自分の足で歩き出した選択は、何ひとつ間違っていなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














