「「お前が悪いからな」」騒音を訴えた翌日から始まった床ドン。だが、日付入りの記録を突きつけた瞬間
苦情の翌日、報復は天井から降ってきた
大学に入って借りたのは、家賃の安さだけで選んだ古い木造アパートだった。
上の階には男子学生が住んでいて、連日のように仲間を呼んでは夜通し騒ぐ。
壁も床も薄く、足音も笑い声も、ときには朝方まで筒抜けだった。私は眠る時間をまるごと奪われ、昼間の授業でも頭がぼんやりするようになっていた。
これ以上は体がもたない。そう思って管理会社に騒音の相談を入れると、対応は早かった。その夜から上の物音は嘘のように消え、久しぶりに朝までぐっすり眠れた。
問題は解決した。そう信じていられたのは、ほんの一日だけだった。
次の日の夜、私が部屋に戻るのを見計らったように、真上から「ドン」と重い音が落ちてきた。歩けば歩いた先の天井が鳴り、じっとしていても不意打ちのように叩かれる。
数日後、駐輪場で顔を合わせた上の住人は、私に近づいて低い声で言い放った。
「お前が悪いからな」
苦情を入れたのが私だと、彼はとっくに見抜いていた。静かにさせられた仕返しに、私の生活そのものを狙っていたのだ。
帰宅のたびに動悸がして、玄関の前で足がすくむ。訴えた側の私が、どうしてこんな目に遭わなければならないのか。
日付の並んだ記録が、加害者を追い出した
逃げるのは簡単だった。
でも、荷物を詰めかけた手がふと止まった。悪いのは一方的に向こうなのに、被害者の私が街を出ていくのは筋が通らない。
私は覚悟を決め、天井が鳴るたびに日時を声に出して記録する方法を選んだ。感情ではなく、事実で戦おうと思った。
それから私は、床が叩かれるたびに日付と時刻をメモし、音を録り続けた。
何日の何時に何度鳴ったのか、一件ずつ表に起こしていく。地道な作業だったが、記録は着実に厚みを増し、やがて3か月ぶんの動かぬ証拠になった。私はその束を管理会社へ差し出した。
日付がびっしり並んだ記録を前に、担当者の表情が引き締まった。
「ここまで揃っていれば、こちらも強く言えます」
管理会社は上の住人へ正式に警告し、契約上の注意を重ねていった。それでも男は非を認めず、開き直りを続けたという。
結末は、私が思い描いたよりずっと明快だった。度重なる警告のすえ、部屋を出るよう求められたのは、私ではなく上階の彼のほうだった。
トラックに家財を積み込む彼を、私は残る側の窓から静かに見下ろしていた。
私を守ったのは強い言葉でも涙でもなく、淡々と重ねた日付の記録だった。逃げずに突きつけた3か月ぶんの事実が、ゆがんだ立場をまっすぐに直してくれた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














