「終わったらうちに泊まっていいから」大学の飲み会で誘われた私。だが、先輩の家で待っていた修羅場とは
泊まっていいと言われた夜
大学生活が始まって、ひと月ほど。
新歓の席で一緒になった先輩に、私は一目で心を奪われていました。
誰にでも気さくで、頼りがいがあって、落ち着きも眩しかったのです。
その先輩から、飲み会の前日にこう言われました。
「終わったらうちに泊まっていいから」
まさか裏があるとは思わず、私は素直にうなずきました。
ただ、当日の先輩には、少しだけ妙なところがあったのです。
お酒が飲めないはずなのに、彼は何度もスマホを気にしていました。
画面を隠すように打ち込んでは、誰かへの言い訳を、こまめに送っているようにも見えたのです。
飲み会がお開きになり、私は先輩に連れられて部屋に上がりました。
荷物を置いて、ひと息ついたときでした。
玄関の外で、かちゃかちゃと鍵をいじる音がしたのです。
修羅場で崩れた言い分
けれど、チェーンロックがかかっていて、ドアは開きません。
わずかな隙間の向こうで、女性が声を張り上げました。
「そこをどけ、話は聞いたわよ」
手には合鍵が握られていました。
あとで分かったのですが、その人は先輩と同じ部活の彼女さんで、この部屋で半分暮らしていたのです。
「ちょっと待って、いま開けるから」
先輩は慌ててドアへ駆け寄りましたが、彼女さんの追及は止まりません。
「親が来るから実家に帰れって、私に言ったよね」
その言葉に、先輩は答えられませんでした。
親が来るという口実で彼女さんを追い出し、空いた部屋に私を呼んでいた。
嘘が、一枚ずつはがれていきます。
「全部作り話でしょう」
畳みかけられて、先輩の顔つきが変わりました。
「落ち着いてくれ、話せば分かるから」
けれど、その声はもう震えています。ベランダには、彼女さんのものらしい靴や服が、雑に押し出されていました。
今夜のために、彼が慌てて隠したのだと、見ただけで分かります。
「その子まで、巻き込んだんだね」
彼女さんの声は、あきれたように低くなっていました。
次々と嘘が暴かれていくのを、私はただ突っ立って聞いています。
「私、失礼します。もう関わりません」
そう告げて玄関を出るとき、先輩は青ざめた顔で立ち尽くしたままでした。
引き止める言葉も、もう出てこなかったようです。
階段を下りながら、私は一度も振り返りませんでした。泊まる前にあの人の本性を知れたことだけが、せめてもの救いだったと思っています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














