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2026.07.19(Sun)

「帰ってきたなら、作れるだろ」産後すぐの私に言い放った夫。だが、誰もいない家でひとり青ざめた

「帰ってきたなら、作れるだろ」産後すぐの私に言い放った夫。だが、誰もいない家でひとり青ざめた

帰った家に、ねぎらいはなかった

妊娠八ヶ月を過ぎても、夫の金曜日は空いていた。

「今のうちに飲んどかないと」

それが口癖だった。張った腹を抱えて見送りながら、私は自分に言い聞かせた。産まれたら、この人も家にいるようになる、と。

甘かった。息子が産まれても、夫は週末になると靴を履いた。

入院中に病室へ来たのは二回きり。ガラス越しの新生児室を一度も覗かず、「まだ帰れないの?」とだけ聞いて帰っていった。

退院の日、病院から戻った私を待っていたのは、点けっぱなしのテレビと、流しに積まれた皿だった。

「退院したんだろ、飯はまだなの」

腕の中の息子が、急に重くなった気がした。

「……今、帰ってきたところなんだけど」

「だから、飯は?」

「私、退院したばっかりなの」

「帰ってきたなら、作れるだろ」

その夜も夫は出かけた。玄関で「たまにはいいだろ」とつぶやきながら。

三日で、家は止まった

翌朝、私は息子を抱いて家を出た。行き先は実家。帰る予定なんて、一度もしていなかった。

母は何も聞かず、玄関で息子を受け取って「重いねえ」と笑った。台所からは味噌汁の匂いがしていた。

座布団の上で、私は産んでから初めて足を伸ばした。畳のにおいと、遠くで鳴る炊飯器の音。天井の木目を眺めているうちに、いつのまにか眠っていた。

夫からの通知が増え始めたのは、昼を過ぎた頃だ。

「勝手に出てくとか、ないだろ」

読んで、そのまま置いた。

二日目の夜、着信が続いた。

「洗剤って、どこにあるの」

「ワイシャツ、明日の分がないんだけど」

三日目、声はもう震えていた。

「シンク、置く場所がないんだよ。ごみの日、いつだっけ」

私は電話を耳に当てたまま、静かに答えた。

「あなたのいない家に、私はずっとひとりでいたよ」

受話器の向こうで、息を呑む音がした。何かを言いかけて、飲み込んで、それきり黙った。

その日の夕方、実家のチャイムが鳴った。立っていた夫は無精ひげのまま、顔が白かった。

「……ごめん」

目は合わせられず、握った手だけが震えている。

「三日で、何もできなくなった。俺、家のこと何ひとつ知らなかった」

母が「まあ上がって」と声をかけても、夫は框に座り込んだきり、立てずにいた。

私は「そう」とだけ言った。慰めはしなかった。

家に戻った最初の金曜日。夫はスマホの画面を伏せて、息子のそばにあぐらをかいた。

「今日は、行かない」

その声を、私は台所で聞いていた。夫の週末が家にあるのは、それからずっと変わっていない。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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