「4444円かあ。なんだか縁起が悪いわねえ」会計の数字に不満を漏らした客。だが、従業員の一言で空気が一変
会計に並んだ「4」の数字
スーパーでレジの仕事をしていたころのことです。
夕方になると、仕事帰りのお客さんや夕食の買い物をする人で、レジには自然と列ができていました。
その日、私のレジに来たのは、よく見かける年配の女性でした。
いつも同じくらいの時間に来て、会計のときに天気の話をしたり、「今日は混んでいるわね」と声をかけてくれたりする方です。
「お願いします」
「はい、お預かりします」
牛乳や卵、豆腐、野菜などを順番に通していきました。
最後の商品を読み取ると、合計金額が表示されます。
4444円でした。
ここまで同じ数字が並ぶことは珍しいので、私は心の中で「きれいにそろったな」と思いました。
「なんだか縁起が悪いわね」
ところが、女性は金額を見るなり、少し困ったような顔をしました。
「4444円かあ。なんだか縁起が悪いわねえ」
冗談っぽい言い方ではありましたが、表情はあまり明るくありません。
「今日は朝からちょっと嫌なことが続いていてね。最後までこんな数字なのね」
そう言って、財布を開きながら小さくため息をつきました。
後ろにはほかのお客さんも並んでいました。
深く考えていたわけではありません。ただ、せっかくきれいに四つ並んだ数字なのに、嫌な気持ちのまま帰ってほしくないなと思ったのです。
そこで私は、とっさにこう言いました。
「でも、4が四つで“四合わせ”ですよ」
女性が顔を上げました。
「四合わせ?」
「はい。“しあわせ”です」
同じ数字なのに、見え方が変わった
一瞬きょとんとしていた女性は、意味が分かるとふっと笑いました。
「ああ、4が四つで“四合わせ”ね」
「そうです。これだけきれいにそろうのも、なかなかないですよ」
「そう考えたら、急にいい数字に見えてきたわ」
さっきまで止まっていた手が動き、女性は笑顔で会計を済ませました。
後ろに並んでいたお客さんも会話を聞いていたようで、少し笑っています。
「私も4444円にならないかしら」
次のお客さんがそう言ったので、私も笑ってしまいました。
「狙って出すのは難しいですよ」
さっきまで静かだったレジの周りが、ほんの少しだけ和らいだ気がしました。
女性はレシートを受け取ると、もう一度金額を見ました。
「四合わせか。今日は最後にいいことがあったわ」
そう言って、笑顔で袋詰めの台へ向かっていきました。
数字そのものは何も変わっていません。
けれど、見方を少し変えるだけで、嫌だと思っていたものが嬉しいものに変わることもあるのだと、私自身も教えてもらった出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














