「まだ終わらないの!?」法事中に叫んでしまった3歳の子供。だが、お坊さんの優しい返答が場を和ませた
緊張した面持ちの法要
親族の法要に出席したときのことです。
年に一度あるかないかの集まりで、久しぶりに顔を合わせる親戚を前に、私は少しかしこまった気持ちでいました。
会場には小さな子を連れてきている家もあり、この長丁場を最後まで静かに過ごせるだろうかと、自分の子でもないのに、内心ではそわそわと気を揉んでいたのです。
読経が始まると、本堂の空気はいっそう引き締まりました。
誰もが物音ひとつ立てまいと、じっと手を合わせています。
時間はことのほか長く感じられ、大人でも足がしびれてくるほどでした。
静けさを破った幼い声
その張りつめた静けさをやぶったのは、親戚の幼い子でした。
ちょうど三歳くらいでしょうか、いつ終わるとも知れず延々と続く読経に、すっかり退屈してしまったようです。
膝の上でしばらくもじもじしていましたが、とうとうこらえきれなくなり、その子は誰にはばかることもなく、無邪気に声を張り上げました。
まだ場の空気も、時間の長さも分からない、正直すぎるひと言でした。
「まだ終わらないの!?」
その声に、私たち大人は思わず背筋を伸ばし、どう取りつくろえばいいのかと目を泳がせました。子どもの親は真っ赤な顔で、しきりに頭を下げています。それでも、当の本人はきょとんとしたままでした。
場をほどいた返答
気まずい沈黙が流れかけた、そのときでした。
お坊さんが読経の手をそっと止め、その子のほうへ静かに体を向けたのです。
声を荒らげることなど少しもなく、まるで孫に話しかけるような口ぶりで、こう言葉をかけました。
「退屈だったかな。でも、みんなでご先祖さまに会いに来た、大事な時間なんだよ」
その穏やかな返答に、その場の緊張が一気にほどけていきました。強ばっていた親族の表情がやわらぎ、あちこちで小さな笑みがこぼれます。
叱られると思っていたのでしょう、きょとんとしていた子どもも、つられて笑顔になりました。子どもの母親も、ようやくほっと胸をなでおろした顔を見せていました。
形式ばった場だからこそ、子どもの飾らないひと言と、それをまるごと受け止めるお坊さんの度量とが、じんわりと心にしみました。緊張していたはずの法要が、いちばん温かな思い出として、今も心に残っています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














