tend Editorial Team

2026.07.31(Fri)

「まだ終わらないの!?」法事中に叫んでしまった3歳の子供。だが、お坊さんの優しい返答が場を和ませた

「まだ終わらないの!?」法事中に叫んでしまった3歳の子供。だが、お坊さんの優しい返答が場を和ませた

緊張した面持ちの法要

親族の法要に出席したときのことです。

年に一度あるかないかの集まりで、久しぶりに顔を合わせる親戚を前に、私は少しかしこまった気持ちでいました。

会場には小さな子を連れてきている家もあり、この長丁場を最後まで静かに過ごせるだろうかと、自分の子でもないのに、内心ではそわそわと気を揉んでいたのです。

読経が始まると、本堂の空気はいっそう引き締まりました。

誰もが物音ひとつ立てまいと、じっと手を合わせています。

時間はことのほか長く感じられ、大人でも足がしびれてくるほどでした。

静けさを破った幼い声

その張りつめた静けさをやぶったのは、親戚の幼い子でした。

ちょうど三歳くらいでしょうか、いつ終わるとも知れず延々と続く読経に、すっかり退屈してしまったようです。

膝の上でしばらくもじもじしていましたが、とうとうこらえきれなくなり、その子は誰にはばかることもなく、無邪気に声を張り上げました。

まだ場の空気も、時間の長さも分からない、正直すぎるひと言でした。

「まだ終わらないの!?」

その声に、私たち大人は思わず背筋を伸ばし、どう取りつくろえばいいのかと目を泳がせました。子どもの親は真っ赤な顔で、しきりに頭を下げています。それでも、当の本人はきょとんとしたままでした。

場をほどいた返答

気まずい沈黙が流れかけた、そのときでした。

お坊さんが読経の手をそっと止め、その子のほうへ静かに体を向けたのです。

声を荒らげることなど少しもなく、まるで孫に話しかけるような口ぶりで、こう言葉をかけました。

「退屈だったかな。でも、みんなでご先祖さまに会いに来た、大事な時間なんだよ」

その穏やかな返答に、その場の緊張が一気にほどけていきました。強ばっていた親族の表情がやわらぎ、あちこちで小さな笑みがこぼれます。

叱られると思っていたのでしょう、きょとんとしていた子どもも、つられて笑顔になりました。子どもの母親も、ようやくほっと胸をなでおろした顔を見せていました。

形式ばった場だからこそ、子どもの飾らないひと言と、それをまるごと受け止めるお坊さんの度量とが、じんわりと心にしみました。緊張していたはずの法要が、いちばん温かな思い出として、今も心に残っています。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.11.03(Tue)

「倒すのはこっちの勝手だろ」新幹線で後ろの客に言い放った男性。しかし、前の客が座席を倒すと態度が一変
tend Editorial Team

NEW 2026.11.03(Tue)

「内定、2社しかもらえてないの」と嘆くフリで自慢する友人。いつも受け流していた私が笑顔で返した一言
tend Editorial Team

NEW 2026.11.03(Tue)

「あとから来る車のために取ってるのよ!」朝市の駐車場で場所取りする女性。だが、誘導係が告げたひと言に思わず沈黙
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.06.27(Sat)

私「市販のやつ、すごくおいしいの!」→「そういうの使わないんで」と見下してきた義弟。だが、私が出した料理を食べると状況が...
tend Editorial Team

2026.05.08(Fri)

「ご収入は今、おいくらなの?」結婚の話題から仕事へ踏み込んできた伯母→曖昧に笑うしかなかった
tend Editorial Team

2026.05.14(Thu)

「たまたま近くにいた」と繰り返し現れたマッチングアプリの男→行動を把握されていたと分かったとき寒気が走った
tend Editorial Team