「あれ、アカペラなの?」披露宴で歌った友人。だが、唖然とする私たちをよそに新郎新婦が涙したワケ
余興で歌うという友人
その日、私は学生時代から仲のいい女友達の披露宴に出席していました。
新婦とは長い付き合いだったため、この日をずっと楽しみにしていました。
披露宴も中盤に差しかかった頃、新郎の学生時代の友人が余興で歌を披露することになりました。
司会者から紹介され、その男性がマイクの前に立ちます。会場では伴奏が流れるものだと思っていたのか、私たちも自然とステージのほうへ目を向けました。
ところが、男性は音楽が流れるのを待つ様子もなく、突然そのまま歌い始めたのです。
伴奏なしで始まった歌
最初の数秒、私は何が起きたのか分かりませんでした。
「あれ、アカペラなの?」
隣に座っていた友人も、小さな声でそうつぶやきました。
披露宴の余興と聞いていたので、てっきりカラオケの伴奏でも流れるのだと思っていたのです。
しかも男性は、周囲の戸惑いなど気にする様子もなく、かなり堂々と歌い続けています。
決して派手な歌い方ではありませんでしたが、宴会向けの余興というより、昔から歌い慣れている曲をそのまま口ずさんでいるような雰囲気でした。
新婦側の友人だった私たちは事情を知らず、最初はどう反応していいのか分かりませんでした。
ところが、ふと新郎新婦の席を見ると、様子がまるで違っていました。
学生時代から変わらない歌
新郎は笑いながら目元をぬぐい、新婦もその横で涙を浮かべていました。
披露宴が終わったあと、新婦から理由を聞いて、ようやく私は納得しました。
その曲は、新郎と友人たちが学生時代によく一緒に歌っていた思い出の曲だったそうです。
学校帰りや友人の家に集まったとき、楽器も伴奏も使わず、みんなでそのまま声だけで歌っていたのだとか。
新郎は結婚が決まったとき、その友人に「披露宴でも、昔みたいに歌ってほしい」と頼んでいたそうです。
新婦も以前からその思い出話を何度も聞いており、ふたりにとっても特別な一曲になっていました。
事情を知らなかった私には突然始まった変わった余興に見えましたが、新郎にとっては、学生時代の空気をそのまま持ってきてくれたような贈り物だったのでしょう。
理由を知ってから思い返すと、あの飾り気のない歌い方にも意味があったのだと分かりました。
披露宴にはさまざまな祝い方があります。見ている側には少し不思議に映っても、本人たちにしか分からない思い出が込められていることもあるのだと感じた出来事です。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














