「どうして2人じゃダメなんですか」各家庭1人までの授業参観日。ルールを守らなかった夫婦に先生が告げた一言
お知らせにあった、太字の一行
参観のお知らせを見た夜、私はリビングのテーブルで夫と予定を確認していました。
紙の中ほどに、「各家庭1人まで」と太字で書かれています。そこで二人とも手を止めました。
「有給、その日は取れそう?」
「厳しいな。行けるほうが行こう」
夫も娘の様子を見たがっていましたが、今回は私が仕事を調整して、1人で参加することになりました。
当日、園へ着いて受付を済ませると、教室の前にも同じ内容の紙が貼られていました。
下には小さく、「ご協力ありがとうございます」と添えられています。
教室の後ろには、保護者が立つ場所を示すテープが、クラスの人数ぶん床に貼られていました。
私の場所は窓側から三番目。前の人の背中越しに、娘の姿がなんとか見える位置です。
ところが、少し離れたところを見ると、ひとつの印の中に大人が2人並んでいました。
夫婦らしく、片方はカメラを構えています。2人では少し狭いようで、足がテープの外にはみ出していました。
先生が、2人のところへ向かった
子どもたちの歌が始まる前、担任がその夫婦のところへ近づいていきました。
周囲がまだざわついていたため、最初のやり取りまでは聞こえませんでした。
すると、私の前に立っていたお母さんが少し振り返ります。
「さっき先生が、各家庭1人までとお願いしていますって伝えていましたよ」
「そうだったんですね。そこまでは聞こえませんでした」
そのお母さんは小さくうなずきました。
「うちも主人が来たがってたんですけど、1人って書いてあったので」
そう話している間も、担任は夫婦に説明を続けていました。
「教室内は、各家庭お一人でお願いしているんです」
すると、カメラを持っていたお父さんが少し困ったような顔をしました。
「せっかく休みを合わせたんですけど…」
隣のお母さんも、すぐには動きません。
「どうして2人じゃダメなんですか」
声が少し大きくなり、何人かの子どもが後ろを振り返りました。
担任は教室の前を確認してから、声を落として答えます。
「このあと廊下でお話しします。もう始まるので、今は子どもたちを見てあげてください」
その言葉で、お母さんが隣のお父さんの袖を軽く引きました。
2人は少しだけ場所を空け、担任は子どもたちの前へ戻っていきました。
教室には、さっきまでとは違う静けさが残りました。
私も自分の印の中へ立ち直り、娘を探します。
娘は前を向き、口を大きく開けて息を吸うところでした。
「はじめまーす」
先生の声に続いて、ピアノが鳴り始めました。
私は窓側から三番目の場所で、夫に見せるための動画を撮ろうと、スマートフォンを構え直しました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














