「土地の財産を譲ってほしい」祖父に持ちかけた弟夫婦→父母の止めに逆上、無視と嫌味が始まった結末
居間の襖越しに、聞こえてしまった理不尽な要求
20歳を過ぎたばかりの春、私は祖父の家へ顔を出しました。
玄関で声をかけたのに返事がなく、中へ入ると、奥の居間からひそやかな話し声が漏れてきます。
聞き慣れた、祖父の弟夫婦の声でした。
そっと足音を殺して廊下に立ち止まると、襖の向こうから、こんな言葉が聞こえてきたのです。
「土地の財産を譲ってほしい」
「お金の話も、いまのうちに整理しておきたいの」
祖父は11人兄弟の長男で、ずっと本家の名を背負ってきた人です。
親子ほど年の離れた末弟を、祖父は若い頃からずっと可愛がってきました。
その「可愛がられて育った末弟」とその妻が、いま、本家の財産を分けてほしいと祖父に詰め寄っているのです。
耳を疑うほどの、理不尽な要求でした。
そして驚くことに、祖父は、その場で承諾してしまったのです。
父母が止めに入った後、変わってしまった態度
家に戻ってすぐ、私は父母にいまの話を伝えました。
父母は顔を見合わせ、急いで祖父の家へ駆けつけてくれます。
「兄さん、その話はダメだ」
「うちで決めてしまうわけにはいかない」
父母の説得で、財産の話そのものは、ぎりぎりのところで撤回されました。
けれど、その日を境に、祖父の弟夫婦の態度がはっきり変わったのです。
親戚の集まりで顔を合わせても、挨拶が返ってこない。
こちらに聞こえる声で、わざと嫌味を口にする。
孫である私が部屋に入れば、ぴたりと話をやめて視線を逸らす。
会うたびに、胃の奥がきゅっと縮こまるような感覚がありました。
祖父にあるとき、私はぽつりと伝えたことがあります。
「弟さんの躾をした方がいいんじゃない?」
「あんな頑固者になってしまった」
祖父は、しばらく黙り込み、寂しそうに首を振りました。
「年が離れて可愛がってきたから、いまさら何も言えないんだよ」
長男として家を背負い続けた祖父にとって、末弟は最後まで「可愛い弟」のままだったのです。
穏便に保ってきた親戚関係でしたが、それ以降、私は祖父の弟夫婦と訣別を決めました。
顔を合わせる場面では、目を合わせず、必要最低限の挨拶だけ。
祖父の優しさにつけ込むような関わり方を、これ以上は受け入れられないと、強く感じた出来事でした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














