「正直、あの人がいる部署には行きたくないんです」毎回、新人が別の部署を希望してくる。原因となっている後輩の本性とは
新人配属の時期に、人事から漏れ伝わった一言
私の部署には、ある年から「配属を希望する新人がほぼゼロ」という奇妙な流れが続いていた。
仕事の内容は変わっていない。
残業も他部署と大差ない。
それなのに、新人が皆、別の部署を志望してくる。
原因がぼんやり見えてきたのは、人事に出向いた同期から伝え聞いた一言だった。
「正直、あの人がいる部署には行きたくないんです」
名指しではなかったが、心当たりは1人しかいなかった。
中途入社の若手の後輩。
20代後半で、入社して2年目になる。
調べ尽くした情報を、雑談に紛らせる
給湯室や打ち合わせ前の数分、彼はやけに具体的な雑談を投げてくる。
「先輩の彼女さん、看護師なんですってね」
営業先の同期に向けてそう言ったのを聞いたとき、私の手は止まった。
職場では誰も知らないはずの相手の職業まで、すでに彼の中では情報として整理されている。
当の同期はその場で笑い返したが、席に戻ってから青ざめた顔でスマホを握りしめていた。
SNSの投稿、フォロー、いいね、過去のタグ、共通の知人。
点と点を雑談の形でつなげて、相手に返してくる。本人にとっては挨拶代わりの会話なのかもしれない。
「○○さんって、昨日駅前にいましたよね?」
こちらが自分の予定を漏らしていないのに、答えだけが彼の口から飛んでくる。
冷たいものが背中を通り抜けた瞬間、雑談はもう雑談ではなくなっていた。
夏のある日曜、別の同期が自宅マンションの前で彼を見かけた、と話していた。
目が合った瞬間に角を曲がって消えたという。住所は社内で話したことがない。
(じゃあ、どこから辿った)
同期は数日後、念のためマンションのオートロックの暗証番号を変えたと話していた。
それでも夜、駐車場の物音にいちいち身構えてしまうらしい。
直接の被害は出ていない。
だから上司も大ごとにはせず、私たちも相談を躊躇った。
気づけば、新人配属の希望調査でこの部署の名前が外され始めた、というだけの静かな結果が積み上がっていた。
悪いことが起きたわけではない。
それでも、給湯室で名前を呼ばれるたびに、自分の半年前の週末を読み上げられているような感覚がする。
職場の空気は、はっきり一段冷えたまま戻らない。
業務時間中に何度か、彼の机のモニターをすれ違いざまに覗いてしまったことがある。
そこに映っていたのが業務資料ではなく、知らない誰かの過去のSNS投稿一覧だった日もあった。
何も言えないまま席に戻った自分の足音が、やけに大きく聞こえた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














