「これ、本当に必要ですか」険悪な空気の中、全員に頭を下げ続けた私。だが、納品後のクライアントの一言で救われた
納品当日のオンライン打ち合わせ
納品データを送り終えた当日、午後イチでオンライン打ち合わせがありました。
私は中堅のリーダーとして画面の前に座り、まだ少し汗ばんだ手のひらをそっと拭きました。
クライアントの担当者は、書類を一枚ずつめくりながら、ゆっくりとこちらに目線を上げました。
「期待以上の仕上がりでした」
その言葉がスピーカーから聞こえた瞬間、自分でも驚くほど肩の力が抜けました。
続けて、文字の校正と動作の安定感が今回の決め手だったと、丁寧に挙げてくれました。社内で共有された資料の中でも、特にその二点が評価されたとのこと。
そこに至るまでの一週間を思い返す
振り返れば、納期の一週間前から雰囲気はずっと重かった。
デザインの先輩は他案件で手いっぱいで、若手の同僚は黙々とキーボードを叩き、エンジニアの同僚は依頼するたびに眉間に皺を寄せていました。
そんな中で私は、一人ずつ席を回り、細かいお願いを少しずつ重ねていきました。
差し替え画像を一枚、文字校正を半日ぶん、動作確認の追加を一画面分。それぞれにとっては小さな依頼でも、束ねれば確実な負担です。
頼みに行くたびに、若手の同僚は手を止めずに低い声で返してきました。
「これ、本当に必要ですか」
空気が一段冷えるのを感じながら、それでも頭を下げ続けるしかなかった。
自分の担当箇所を並行して進めながら、夜中まで残って成果物を拾い集めて、また次の朝に依頼の続きに行く。
チームを率いるというより、ただひたすら地道に動き続けた一週間でした。
画面越しの言葉が一気に報いてくれた
クライアントの言葉は短かったけれど、はっきりとした重みがありました。
具体的に挙げてくれた二か所は、私が雰囲気を悪くしながら頼んで回った、まさにその場所だったんです。
「ありがとうございます。チームに伝えます」
そう返事をしながら、画面の片隅に映った自分の顔が、少しほどけていくのが見えました。
打ち合わせを終えて部屋に戻ると、若手の同僚がぽつりと「報われましたね」と笑ってくれた。
デザインの先輩も、いつもより少しだけ柔らかい表情でこちらを見ていました。
エンジニアの同僚は、無言のまま小さく親指を立ててみせるだけでしたが、それで十分でした。
頼みすぎたかもしれないと迷っていた一週間が、たった一言で全部報われた感覚でした。胸の奥に、久しぶりにすっとした風が抜けていきました。雰囲気を悪くしてでも声をかけ続けたあの判断は、間違っていなかったんだと、今でもときどき思い返します。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














