「忙しい時は頼むよ」と休憩室に消えるチーフ→他のスタッフの独り言に思わず共感してしまった
一言残して消えていくチーフ
地元のスーパーで十数年、パートとして働いてきた。
60代になっても体が動く限りは続けるつもりで、棚出しもレジフォローも任せてもらっている。人手が足りない日が増えた最近は、現場の連携がいっそう大事になっていた。
そんな現場で、店のチーフの行動に違和感を覚えるようになったのはいつごろからだろうか。
荷受けが重なり、クレームが入り、レジに行列ができる。
そういう日に限って、チーフの姿がフロアから消える。
「忙しい時は頼むよ」
その一言だけ残して、休憩室のドアの向こうに消えていく。残された部下たちは黙って分担を決め、持ち場に戻る。60代の私も、その輪の中にいた。
顔ぶれによって切り替わる態度
不満が出るのは、サボっているだけではないからだ。チーフが積極的に動く場面は、確かに存在する。
本店から問い合わせが来た時。自分の実績をアピールできる電話が入った時。そういう場面では、誰よりも先に受話器を取った。
若い女性スタッフに話しかける時の声のトーンも、普段とは別物だった。
笑顔を絶やさず、気遣いのある言葉を選んで、丁寧に接する。
フロアで「任せておけ」と言う時のそっけなさが嘘のように消えていた。
長く働いてきた女性スタッフたちは、そんなチーフの本性をとっくに見抜いていた。
愛想よく返事はするが、必要以上には近づかない。ベテランになるほど、その距離の取り方が板についていた。
チーフは気づいているのだろうか。自分を高く評価しているのは、本性を知らない外部の人間だけだということを。
毎日一緒に働く部下たちの目に、自分がどう映っているかを。おそらく気づいていない。だから同じことを繰り返す。
言葉にしない、でも感じている違和感
ある昼休み、隣に座ったスタッフがぽつりと言った。
「どうせ忙しくなったらいなくなるんだけどね」
「そうだよね」と同意する声がぽつりぽつりあがった。
感じていることは全員同じだ。忙しい時に頼れる人が休憩室にいて、笑顔が必要な場面でだけ颯爽と現れる。
そのギャップを、私は静かに処理し続けている。
今日もチーフは若い女性スタッフに声をかけながら売り場を歩いている。その声が、またフロアまで聞こえてくる。私は黙って棚の整理を続けた。
現場は今日も、チーフなしで回っている。何かが変わる気配は、どこにもなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














