「聞いてないんだけど」報告したのに全否定する課長。だが、課長が休職した理由を聞き絶句
後輩のフォローも届かなかった朝礼
少人数の部署で働いていた頃、私は中堅の立場として後輩からの相談を受けては、その都度直属の課長に取り次いでいました。
育休を控えた後輩の業務調整も、しっかりと前もって課長に共有してあったはずでした。
私自身も近い時期に休業に入る予定で、引き継ぎは慎重に進めていた時期です。
けれど朝礼の場で、課長は急に眉をひそめて私を見ました。
書類を片手に、強い口調でこう言い放ったのです。
「聞いてないんだけど」
私が経緯を伝え直すと、声のトーンがさらに上がりました。場の空気が一気に重くなっていくのを、皮膚で感じました。
「課長、その件は先週お伝えしました」
そう言ったのは、隣にいた後輩でした。
自分が当事者だからと、勇気を出して口を開いてくれたのです。それでも課長は、首を強く振るばかりでした。
部内の空気が変わっていく
同じことが何度も繰り返されました。確かに伝えた話が、翌週には「初耳」になっている。
最初はメモが甘かったのかと自分を疑いました。けれど後輩が同じ場面に立ち会っているのに、それでも覆らない。
共有したはずの予定表すら、課長の手元では別の認識で固まっていきました。
後輩は申し訳なさそうな顔で私に耳打ちしてきました。
あの時、私もちゃんと聞きましたよねと。
彼女に責任を背負わせるわけにはいかず、私は静かに頷くしかなかったんです。
気づけば、課長との伝達ミスはすべて私の落ち度として処理される空気が部内にできていました。
声をあげれば後輩の立場まで悪くしてしまう。それが何より重くて、自分の身を守るために退職届を書きました。
最後の出社日まで、課長は「お疲れさまでした」と穏やかに笑っていて、私はその笑顔をどう受け止めればいいか分からなかったんです。
時間が経って分かったこと
辞めて季節がひとつ過ぎた頃、当時の後輩から近況メッセージが届きました。
課長はその後、しばらく休職に入っていたそうです。物忘れの裏には、本人にも自覚しにくい事情があったらしいと、私はそこで初めて知りました。
私が責められていたのは、人格でも能力でもなかったのです。
納得は、確かにできました。けれど割り切れたわけではないんです。あの時もし誰かが課長の異変に気付けていたら。
私は職場を去らずに済んだのかもしれない。後輩を守るために重ねた我慢の重さも、誰にも返してもらえないまま残りました。本当の落ち度は、あの空気の中で疑いを持てなかった全員にあったのかもしれません。胸に残ったモヤモヤは、いまも静かに居続けています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














