「あと5分だけ、休ませてくれよ」ソファから動かない夫。翌日、5歳の子がそっと告げた一言で態度が一変
ソファから動かない父親
その日も、夕食が終わるとすぐ、夫はソファに沈み込んだ。
片手にはスマホ、目は画面に釘付けだ。
5歳の息子が、待ちきれない様子でその膝に飛びついていく。
「パパ、遊ぼうよ。ねえ、遊ぼう」
けれど夫は、体を起こそうともしなかった。返ってきたのは、気だるげな一言だけ。
「あと5分だけ、休ませてくれよ」
その「5分」は、何度呼んでも終わらなかった。
息子は諦めきれずに、パパのシャツの裾を引っ張り続ける。
それでも夫の指はスマホから離れず、生返事が繰り返されるだけだった。
やがて息子は、引っ張る手を止めた。しょんぼりと肩を落とし、ひとりで車のおもちゃを転がしはじめる。
その小さな背中を見ていられず、私は声をかけた。
「ほんの少しでいいから、相手してあげてよ」
「疲れてるんだって。あとでな」
夫の「あとで」が来ないことを、私も息子も、もう知っていた。言い返したくなる気持ちを飲み込んで、その夜は静かに更けていった。
私だって、仕事から帰ればくたくただ。それでも、子どもの「遊ぼう」の一声には、なんとか応えてきたつもりだった。
夫の背中を見つめながら、この温度差はどうしたら埋まるのだろうと、ため息が漏れた。
翌日、そっと告げた一言
次の日の夕方、また同じようにソファでくつろぐ夫のそばに、息子が近づいていった。今度は騒がず、ただ静かに、こう言ったのだ。
「きのうね、パパと遊べなくて、さみしかったよ」
怒るでも泣くでもない、飾らない本音だった。その一言に、夫の手がぴたりと止まる。
スマホの画面を見つめたまま、しばらく動けずにいた。
ゆっくりと顔を上げた夫は、息子の目をまっすぐに見た。5歳の子が、ずっと我慢して待っていたこと。その寂しさに、はじめて正面から気づいた顔だった。
「…ごめんな。パパと遊びたかったよな」
夫はスマホをテーブルに伏せ、勢いよく立ち上がった。
「明日はとことん遊ぶぞ。公園、行こう!」
息子の顔が、一瞬で笑顔になった。二人はそろって上着をつかみ、手をつないで玄関を飛び出していく。
しばらくして窓をのぞくと、夫が息子を肩車して、うれしそうに歩いていた。
その日を境に、夫は帰宅後の時間を息子のために空けるようになった。
どれだけ言い聞かせても動かなかった人を変えたのは、5歳の子の飾らない一言だった。
あんなに言葉を尽くしても動かなかった夫が、たった一度の素直なつぶやきで変わったのだ。子どもの正直さには、大人の理屈をこえた力があるのだと思い知らされた。
ぶつけるより、そっと伝える。その静かな強さを、私はわが子から教わった気がした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














