「保育園の準備なんて、5分で終わるだろ」実際に任された朝、鞄の前で立ち尽くした夫が漏らした一言
「5分で終わる」と言った夫
子どもが生まれてからも、夫は家のことをほとんど私に任せきりだった。
本人は「育児は手伝っている」と言うけれど、実際は気が向いたときに抱っこするくらい。
洗濯も、食事の支度も、保育園の準備も、目に入っていないようだった。それでいて、私の毎日を軽く見ているところがあった。
そんなある晩、私は体調を崩して寝込んでしまった。翌朝の保育園の準備を頼もうとすると、夫は事もなげにこう言った。
「保育園の準備なんて、5分で終わるだろ」
じゃあお願い、と私は布団から頭を下げた。
夫は自信たっぷりに子ども部屋へ向かっていった。
ところが、いつまでたっても支度が終わる気配がない。
様子を見に行くと、夫は鞄の前で立ち尽くしていた。着替えは何枚いるのか、コップはどこか、連絡帳には何を書くのか。
何ひとつ分からず、手が止まっていたのだ。
「これ、どうすればいいんだ…」
結局その朝も、熱を押して起き上がったのは私だった。夫は横で、ばつが悪そうにうつむいていた。
一覧にして分かったこと
回復してから、私は夫に一つ提案した。
家事と育児をぜんぶ紙に書き出して、担当を決めてみよう、と。
その夜、二人でテーブルを囲み、朝の身支度から寝かしつけ、洗濯物、園への送り迎え、名前もつかない細々とした用事まで、順に書き並べていった。
項目は思いのほか多く、紙はあっという間に埋まっていく。
「こんなにあるのか」夫が驚いた声を漏らす。ひとつずつ話し合いながら、保育園の準備とお迎えは夫が受け持つことになった。
始めのうちは、持ち物をそろえるだけで手間取っていた。
それでも毎日続けるうちに、少しずつできることが増えていく。子どもとの会話も自然と多くなり、園での様子を私に報告してくれるようにもなった。
ある朝、慣れた手つきで鞄を用意しながら、夫がしみじみと言った。
「思ったより、やることが多いんだね」
あの「5分で終わる」という言葉は、もう二度と出てこなかった。
実際に自分の手を動かして、初めて分かったのだろう。
それからというもの、夫は見違えるほど協力的になった。私が頼む前に動き、寝込んだ日も落ち着いて子どもを送り出せる。たった一枚の紙が、すれ違っていた二人の毎日を、少しずつ揃えてくれた気がした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














