「じゃあこの仕事はどうするんですか!?」仕事を押し付けて残業を避ける後輩。だが、私が半休で帰った結果
権利の話だけは、いつも先に出てくる
同じ部署に、年下の同僚がいた。
仕事の覚えはそこそこなのに、有給や休憩、定時退社の話になると目の色が変わる。
「これ、私たちの権利なんで」
誰かが声をかけるたびそう繰り返していた。
最初は素直で良いのかもしれないと受け取っていた。私自身、家庭の事情で急に早退する日もある。困った時はお互い様だ。
だから彼女が定時きっかりに帰る日も、机に残った仕事を私が黙って引き受けることもあった。
期限がある書類は、誰かが片付けないと回らない。電話の取り次ぎや問い合わせの返信が翌朝にずれ込めば、結局、別の誰かが頭を下げる側に回る。
けれど、何度かそれが続いた頃、はっきり気づいてしまった。
彼女は端から、終業時刻までに片づける気がない。終わらないのではなく、終わらせない。
引き受けてくれる人がいる前提で、最初から組んでいるだけだった。机の引き出しから出る私物の量と、未着手の書類の高さが、毎日少しずつ釣り合わなくなっていく。
それを見ているうちに、お互い様の二文字が、自分の中でだんだん意味を失っていった。
残した一言と、初めての残業
そこで私は、一度きちんと現実を見てもらおうと決めた。
午後から半休を入れた日、彼女は明らかに動揺した。直属の課長に相談しに行くと席を立ちかけて、こちらに振り向く。
「じゃあこの仕事はどうするんですか!?」
声に苛立ちが滲んでいた。
困っている、ではなく、押し付け先がいなくなって戸惑っている響き。
私は鞄を持ったまま、できるだけ短く返した。
「午後から予定があるんで」
そのまま会社を出た。
声を荒げる気は最初からなかった。
ただ、彼女の世界の前提を一度ずらしたかっただけだ。
後から聞いたところ、彼女はその日、初めて遅くまで残って自分の仕事を片づけて帰ったらしい。
私が翌朝出社すると、彼女は何事もなかったような顔で「おはよーございまーす」と挨拶してきた。
胸に残ったのは達成感ではなく、答えのないモヤモヤ。「半休を取らないと回らない関係」を、これからも隣の席で続けていくのかと思うと、心が重たかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














