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2026.06.19(Fri)

「そんなに熱くないだろ!」シチューを食べない娘にキレた夫。だが、妻がシチューに仕掛けた罠に絶句

「そんなに熱くないだろ!」シチューを食べない娘にキレた夫。だが、妻がシチューに仕掛けた罠に絶句

急に変わった顔

夕方のキッチンに、めずらしく夫が立っていた。普段は料理などしない人が、その日はやけに上機嫌でシチューを煮込んでいる。

出来上がると、小4の長女と私を呼んで味見をせがんできた。

湯気がもうもうと立つスプーンを向けられ、私はやんわり断った。

「熱々だから今はいいよ〜」

続いて口をつけた長女が、舌を出して笑う。

「あっついよ〜。口の中ヤケドするって〜」

湯気が立つほど熱かったのだから、当たり前の感想だ。私もつい笑ってしまった。なのに次の瞬間、夫が娘に向かって声を荒げた。

「そんなに熱くないだろ!」

「俺がせっかく作ったんだよ!」

びくっと身をすくめた娘を、私は慌てて抱きしめた。

「びっくりしたね。大丈夫だよ」

誰も手をつけない鍋

娘の頭をなでながら、私は静かに腹を決めていた。

あんなに小さな子を、たった「熱い」のひと言で怒鳴りつけるなんて。隣で見ていた次女も、すっかり黙り込んでいる。

あれだけ怒鳴られたシチューを、わざわざ食べたい者などいなかった。

「私たちはいい。お父さんが食べて」

「あっそ」

胸を張る夫に、私はうなずいた。

それなら遠慮なく、本人の言う通りシチューを出してあげよう。

私はもう一度、コンロに火を入れた。

鍋の中が、ぼこぼこと音を立てるまで煮込んでいく。

湯気が天井へ立ちのぼり、皿に移してもなお、表面はまだ小さく泡立っていた。

ひと口で凍った夫

娘たちを寝かしつけたあと、食卓に戻った夫は、何も知らずにスプーンを口へ運んだ。

次の瞬間、その動きがぴたりと止まる。

「うっ……」

喉を通る熱さに、夫の顔がぐっと強張った。

目を白黒させ、思わず水のコップへ手が伸びかける。だが、ついさっき「熱くない」と怒鳴ったばかりだ。

今さら熱いとは言えない。手はコップの手前で宙に浮き、結局そのまま、夫は無言で食べ続けた。

「どう、おいしい?」

「……うまいよ」

額に汗をにじませ、声を震わせながら、それでも平気な顔を装う。

その必死さが、私にはどうにも滑稽に映った。あれほどの剣幕で娘を怒鳴った人が、今は熱さひとつ口に出せずにいる。立場は、ものの数十分で入れ替わっていた。

「ごちそうさま、なら片付けるね」

夫はうつむいたまま、何も言い返さなかった。あの怒声が嘘のように、台所には静けさだけが戻っていた。

翌朝、その顛末を知らなかった長女にそっと耳打ちすると、娘はぱっと顔を輝かせ、小さな拳を突き上げてみせた。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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