「お年玉は3000円、少なすぎないか」親戚の子に渡した額をめぐって、場が凍りついた正月
みんなに同じ袋を
年が明けて、親戚の家に集まった日のことです。私には、毎年ひそかに決めていることがありました。お年玉は、どの子にも同じ額を渡す。差をつけると、あとで角が立つからです。
その年も、小学生から高校生まで、渡す相手はみんな一律で3000円にしました。上の子にも下の子にも、同じぽち袋を用意します。食事が一段落したところで、子どもたちを呼んで、一人ずつ手渡していきました。
「はい、今年もよろしくね」
子どもたちは、ぺこりと頭を下げて受け取ります。ここまでは、いつもの穏やかな正月でした。
額をめぐって凍りついた席
空気が変わったのは、袋を配り終えたあとでした。少し離れた席から、ある親戚が口を開きます。
「お年玉は3000円、少なすぎないか」
その人は、自分の子が受け取った袋を手に取って、金額のことを口にしました。
うちはもっと弾んでいる、という話まで続けます。場が、すっと凍りつきました。
子どもたちは、きょとんとしています。渡した額に文句が出るとは、誰も思っていませんでした。
私は、慌てませんでした。金額の張り合いに乗れば、正月の席がぎすぎすするだけです。だから、できるだけ淡々と答えました。
「うちは毎年、みんな同じにしてるの。それだけよ」
気まずくなったのは
それ以上は、何も言い足しませんでした。
責めもしなければ、張り合いもしない。袋の中身を比べたところで、正月が気持ちよく終わるわけでもありません。ただ事実だけを静かに置いて、私はお茶を注ぎに立ちます。
沈黙のあと、気まずくなったのは、私ではありませんでした。
金額を持ち出した親戚のほうへ、周りの視線が静かに集まっていきます。誰も言葉にはしませんが、その場の空気が答えを出していました。
「……まあ、気持ちだからな」
その人は、そう小さくつぶやいて、話題を変えました。さっきまでの勢いは、もうありません。見栄を張って口にした一言が、そのまま自分へ返ってきたのだと、気づいた顔でした。
子どもたちは、何も知らずに袋を眺めています。私はそっと、一人の子の頭をなでました。金額の多い少ないで、せっかくの正月の笑顔が減るのは、やっぱり違う。声を荒らげず、淡々と受け流したあの一言のほうが、張り合うよりずっと軽く、その場をすっと収めてくれたのでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














