tend Editorial Team

2026.06.17(Wed)

「この前のテストも満点でね」と子供自慢するママ友。だが、子供の放った一言で絶句

「この前のテストも満点でね」と子供自慢するママ友。だが、子供の放った一言で絶句

毎回の独演会

習い事の待合室は、いつも一人のママの声で埋まっていた。子どもたちがレッスンを受けている間、彼女の自慢を聞かされるのが恒例だったのだ。

その日も、椅子に座るなり彼女は得意げに話し始めた。

「塾なしでもできる子だから」

「えらいですね」

「ほんと手がかからなくて助かっちゃう。この前のテストも満点でね、お宅のお子さんはどうだった?」

こちらの返事を待つより先に、また次の自慢が飛び出す。やがて話は、決まってよその子をけなす方向へと流れていった。

「まあ、できない子はどうしても遅れちゃうものね」

その一言に、周りのママたちの表情が固まる。誰も笑っていないのに、彼女だけが満足げだった。

サゲられる子どもたち

困ったのは、自慢が他の子を下げる材料になることだった。

「あの子、運動も苦手みたいだしね」

「そう、なんですかね」

「うちは何でも一番だから、つい比べちゃって」

名前こそ出さないものの、誰の子を指しているかは、その場の皆がわかっていた。当事者のママは、うつむいて唇をきゅっと結んでいる。

「比べちゃ悪いとは思うんだけどね」

そう前置きしながら、彼女は次々と他の子の苦手なところを挙げていく。隣の席のママが、見かねて私にそっとささやいた。

「誰か止めてくれないかな」

「ほんとに」

みんな同じ気持ちでいながら、波風を立てたくなくて口をつぐむ。待合室は、彼女の声だけが大きく響く窮屈な場所になっていた。

誰かが何か言い返してくれるのを、全員が心のどこかで待っていた。

本人からの一撃

その日もよその子を下げる話が佳境にさしかかった、そのときだった。レッスン室の扉が開き、彼女の息子さんが顔をのぞかせた。

「ママ、ぼくの点数の話、もうやめてって言ったじゃん。はずかしいから」

悪気のない、まっすぐな声だった。待合室が、しんと静まり返る。得意げだった彼女の顔から、すうっと表情が抜けていった。

「あら、だって……」

続きを言おうとして、言葉にならない。頬がみるみる赤くなり、とうとう真っ赤になって黙り込んだ。

周りで聞いていたママたちが、そっと目を見合わせて微笑む。誰かが、ほっとしたように肩の力を抜いた。

息子さんはきょとんとした顔で、また奥へ引っ込んでいった。あとに残ったのは、うつむいたまま動けない彼女だけだった。

「もうすぐお迎えの時間ですね」

別のママの一言で、張り詰めていた空気がやっとほどけた。それからというもの、待合室で比べ合う声は聞こえなくなった。

壁の向こうから響いてくるのは、子どもたちの音読の声だけになったのだ。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.09.22(Tue)

「また最初から説明するのか?」2日続けて怒って電話してきた男性。店舗へ引き継いだ3週間後、私に届いた手紙
tend Editorial Team

NEW 2026.09.22(Tue)

「靴、脱がせたほうがいいですよ」電車の座席に靴で立つ子供。だが、注意された母親の態度が変わったきっかけ
tend Editorial Team

NEW 2026.09.22(Tue)

「これ、特売だったよね?値段が違うんじゃないの」レジで怒り出した男性。だが、店長が商品と値札を見比べた結果
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.07.27(Mon)

「砂」の中に1字だけ違う漢字が隠れている!見つけた瞬間にちょっと嬉しくなる、大人のための『漢字間違い探し』
tend Editorial Team

2025.12.02(Tue)

「日本人がやられている」カズレーザーが指摘した中国公演中止問題の冷徹な現実。なぜエンタメが犠牲になるのか
tend Editorial Team

2026.07.17(Fri)

「眼鏡、弁償するよ」誠実に謝る側を無視し続けたママ友。だが、頑固な態度に周囲の全員が呆れ返った
tend Editorial Team