「お土産くれなくなったね」もらうのが当然のように振る舞うママ友。だが、私の正論で態度が一変
いつも受け取るだけの人
旅行の帰りには、お土産を片手にご近所やママ友のお宅を回る。うちの界隈には、そんなゆるい習慣が根づいていた。
仲良くしていたママ友にも、私はよくお土産を渡していた。
旅行先で「あの人、これ好きそうだな」と顔を思い浮かべるのが、ちょっとした楽しみでもあったのだ。広島の銘菓を一箱、手渡したときもそうだった。
「ありがとう、助かるわあ」
彼女はいつも、屈託のない笑顔で受け取る。それはそれで嬉しかった。けれど、ある日ふと立ち止まって考えると、おかしなことに気づいた。
「私、この人からもらったこと、一回もないかも」
何年ものつき合いなのに、思い当たる記憶が、本当に一つもなかった。
あちこち行っていた
旅行をしない人なのだろう、と勝手に納得していた。
それなら仕方ない。そう思っていた、ある日の立ち話でのことだ。
「この前は山のほう、その前は南の島まで足を延ばしてね」
「へえ、けっこう行ってるんだ」
「うん、もう旅行だけが楽しみで」
彼女は楽しそうに、最近の旅の話を並べていく。私は相づちを打ちながら、内心であっけにとられていた。出かけていなかったのではない。
ただ、私に渡すという発想が、はじめからなかっただけだ。
責める気はない。けれど、もらうのが当然という顔つきを見ていたら、私の中で何かがすっと冷めた。
次の旅行から、私は彼女にだけお土産を渡すのをやめた。ほかの人には変わらず配っていたから、買い忘れたわけではないことは、本人にもわかったはずだった。
お互い様にしようと思って
数ヶ月が過ぎた、ある朝。道で会った彼女が、思い出したように口を開いた。
「お土産くれなくなったね、旅行行ってる?」
あくまで、もらえないことが不満そうな口ぶりだった。私はにっこりして答えた。
「行ってるよ。ただ、お土産はお互い様にしようと思って」
彼女の顔から、すっと表情が消えた。
きょとんとした次の瞬間、言葉の意味に気づいたのだろう。頬がじわりと赤らみ、目が泳いだ。
「……そう、だよね。」
小さくそう言って、彼女はそそくさと去っていった。やりとりを横で聞いていた別の奥さんが、こらえきれずに小さく吹き出していたのが、妙におかしかった。
それから少しして、彼女が箱菓子を持って我が家を訪ねてきた。
「この前のお返し。今まで、もらいっぱなしだったから」
差し出す手が、少し気まずそうだった。彼女が初めて持ってきたお返しを、私はありがたく受け取った。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














