「明日も仕事だから」子供が吐いているのに放置する夫。翌朝、通勤中の夫に訪れた悲劇とは
誰も手伝ってくれない夜中
新生児の育児で、一番こたえたのは深夜だった。息子は吐き戻しの多い子で、私は毎晩、細切れの睡眠の合間に何度も起き上がっていた。
その夜、授乳のあとにゲップをさせていると、息子がとんでもない量を吐き戻した。ソファも私のパジャマも、みるみる汚れていく。
時計の針は、深夜二時を回ったところ。寝ぼけた頭では、何から片づければいいのか見当もつかなかった。
そのとき、寝室のドアが開いて、トイレに起きた夫が顔を出した。助けてくれるかもしれない。そう思って、私は事情を伝えた。
ところが、夫の返事は思いもよらないものだった。
「明日も仕事だから、おやすみ」
彼は眠そうに手を振ると、そのまま寝室へ消えていった。
静かに決めた仕返し
残されたのは、吐き戻しの海の中に立つ私と、腕の中の息子だけ。怒りを通り越して、いっそ笑えてきた。
ひとりでソファを拭き、息子を着替えさせ、自分のパジャマも替える。
洗濯物を干し終える頃には、もう朝だった。
ひと晩じゅう、私は考えていた。声を荒げたところで、この人は「眠い」の一言で終わらせるだろう。ならば、言葉ではない方法がいい。
ふと思い出したのが、洗面所に置いてあった清涼スプレーだった。夏に汗を流したあと、シャツにひと吹きすると、ひんやり気持ちがいい。
あれを、ほんの少しだけ拝借しよう。
私はいたずらっぽい気分で、翌朝の準備を整えた。
通勤中の悲鳴
翌朝、夫が身支度をしている隙に、私はたたんであった彼の下着へ、清涼スプレーをそっと吹きかけた。
もちろん、体に害のない量だ。あとは、いつも通り送り出すだけ。
「いってらっしゃい」と、私は満面の笑みで手を振った。
異変が起きたのは、通勤の電車の中だったらしい。
じわじわと広がるスースー感。
夫はひとりで悶えていたそうだ。
その清涼感は一向におさまらなかったという。
その夜、帰ってきた夫は、開口一番こう言った。
「今日、なんか下半身がずっと冷たくて、生きた心地がしなかった」
「あら、そうなの。大変だったね」
私がとぼけてみせると、夫は察したらしく、ばつの悪そうな顔になった。
ゆうべ、私を放って眠りに戻ったことを、ようやく思い出したようだった。
「ゆうべは、ごめん。今夜からは、ちゃんと手伝うよ」
その言葉に嘘はなかった。あの日を境に、夫は夜泣きにも吐き戻しにも、まっさきに起きてくれるようになった。ひんやり一発の効き目は、どんな言葉よりも確かだったのだ。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














