「母の部屋に置いとけばいい」亡くなった義母の部屋を物置にしようとする夫や義兄弟→我慢出来ずに本音をぶつけた結果
遺品部屋が物置になった
義母の葬儀を数日後に控えた、ばたばたとした夜のことだった。
喪服の支度をしていると、夫と義兄弟たちが車で何度も往復し、家からいらない荷物を運び込んでいた。
行き先は、なぜか亡くなった義母の部屋だった。
使わなくなった棚、古い衣装ケース、中身のわからない段ボール。
あっという間に、部屋は天井近くまで物で埋まっていく。
棚の角が壁紙を削り、義母が大切にしていた鏡台は段ボールの陰に隠れて見えなくなった。
掃除の行き届いていた畳も、今は物の重みで沈み込んでいる。
「母の部屋に置いとけばいい」
義弟が事もなげにそう言った。
生前、義母がていねいに使っていた場所が、たった数日で見る影もない物置に変わってしまった。
片付けの段になると、三人の兄弟はふっと黙り込み、当然のように私の顔を見た。
喪主の妻が引き受けるのが筋だ、とでも言いたげだった。
そのとき、胸の奥でこらえていた何かが、静かに切れる音がした。
誰が片付けるの、と問うた夜
私は積み上がった段ボールに手を置いて、三人をまっすぐ見返した。ここで引けば、悲しむ間もなく私ひとりに全部がのしかかる。
それだけは飲み込めなかった。
「誰が片付けるの」
静かに、けれどはっきりとそう問うた。
三人は顔を見合わせるばかりで、誰も答えようとしない。
「これは皆さんのお母さまの遺品で、この荷物は皆さんが持ち込んだものですよね。嫁の私がひとりで触れていいものではないと思います」
紙を一枚出して、その場で分担を書き出した。
誰の荷物を誰が引き取り、いつまでに片づけるか。実子である三人で担うのが当たり前だと、一つずつ示していった。
「そんな、こまごまと決めなくても…」義兄が口ごもったが、あとの言葉は続かなかった。
反論できる理屈が、どこにもなかったからだ。
「お嫁さんの言う通りよ。実の子が分けるのが当たり前でしょう」
隣で聞いていた義叔母が、はっきりとそう言い添えた。
ほかの親戚もうなずき、三人はいよいよ黙り込んだ。やがて観念したように肩を落とし、誰からともなく自分の持ち込んだ段ボールへ手を伸ばし始める。
それからは、三人が期限までに自分の荷物を運び出し、遺品も実子の手で片づけられた。私に押しつけようとした義弟は、ばつが悪そうに終始うつむいていた。
「ありがとうな、言い出してくれて」夫がぽつりとこぼした。片づいた部屋に、西日が静かに差し込む。義母の残した落ち着きが戻ってきて、私はそっと手を合わせた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














