「うちの水筒をあげちゃった」娘に勝手に飲ませたママ友。合わない価値観に青ざめたワケ
帰ろうとした矢先
保育園のお迎えの帰り、園前の公園で同じクラスの親子と一緒になった。
お迎えだけのつもりだったから、その日は水筒を持っていない。
まさかこんなに長く公園にいることになるとは、思ってもいなかった。
「暑いけど、ちょっとだけ遊ばせちゃおうか」
気さくなママ友に誘われ、子どもたちは砂場へ走っていった。うちの娘も、砂の山にスコップを突き立てて夢中になっている。
じりじりと照りつける日差しのなか、暑がりの娘は遊びだすとすぐに汗びっしょりになる。
熱中症も心配で、私は帰るタイミングをうかがっていた。
(そろそろ水分をとらせて、帰らなきゃ)
「そろそろ帰ろうか」と、娘に声をかけようとした矢先だった。
明るい声の告白
「黙って、うちの水筒をあげちゃった」
顔を上げると、ママ友がうちの娘に自分の水筒を飲ませたところだった。
その水筒には、ママ友の子がずっと口をつけていたものだ。
あまりに屈託のない笑顔で、私はとっさに言葉が出なかった。
私は人一倍、衛生に気をつかうたちだ。
おまけに保育園では、今まさに風邪がはやっている。
飲みかけの水筒が娘の口についた瞬間を思うと、血の気が引いて、顔が青ざめていくのが自分でも分かった。
それでも、相手に悪気がないのは伝わってくる。
感情のまま責めても、この心地よい関係を壊すだけだ。
私はゆっくり息を整えてから、口を開いた。
「教えてくれてありがとう。ただ、うちは衛生面がすごく気になるの。次からは先に一声かけてね」
ママ友は、はっとした顔になった。
線を引けた安心
「ごめんね、よかれと思って…全然、気がまわってなかった」
ママ友はしゅんと肩を落とし、素直に頭を下げた。
「風邪もはやってる時期だもんね。うちの子だったら、って考えたら分かるのに」
近くにいた顔見知りのママも、そっと言葉を添えてくれる。
「言いにくいこと、ちゃんと言えるのえらいよ」
その一言に、張りつめていた肩の力がふっと抜けた。
気まずくなるのを恐れて、言えずに飲み込む人も多いだろう。
でも私は、はっきり伝えられてよかったと思えた。
謝られても、私は「気にしないで」と流したりはしなかった。
わが家の方針を曲げるつもりはない。それを穏やかに、でもはっきり守れたことが誇らしかった。
「ママ、のど渇いた。おうちで麦茶飲む」
「うん、帰ろう。冷たいの、いっぱい飲もうね」
帰り道、娘の手を握りながら、言うべきことを言えた自分に、少しだけ胸を張れた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














