「野菜、ちょっと少なくない?」遠足でお弁当を見たママ友。娘がそっと蓋を閉じかけた瞬間
楽しみにしていたお弁当
親子遠足のお昼、広場のあちこちでレジャーシートが広げられました。
娘は朝からお弁当を楽しみにしていて、私が水筒を置いている間に、さっそく蓋を開けています。
中に入れたのは、娘の好きなから揚げや卵焼き、ウインナー。それに、小さなブロッコリーとミニトマトを少し添えていました。
前日の夜に、娘から「タコさんのウインナーをいっぱい入れて」と頼まれていたので、いつもより少し多めに入れていたのです。
「見て。タコさん、いっぱいだよ」
娘はうれしそうに、近くにいた友達へお弁当箱を見せていました。
すると、隣のシートにいた同じクラスのママ友が、こちらを覗き込みました。
「あれ、野菜ちょっと少なくない?」
突然そう言われて、私は一瞬返事に困りました。
「今日は好きなものを多めにしたんです」
そう答えると、ママ友は自分の子のお弁当を見ながら続けます。
「うちはできるだけ野菜を入れるようにしてるよ。遠足でも普段と同じほうがいいかなと思って」
責めるような口調ではありませんでした。
ただ、周りにも人がいるところで子どものお弁当を比べられると、やはり少し居心地の悪さがあります。
それ以上に気になったのは、娘の様子でした。
さっきまで楽しそうに見せていたお弁当箱を自分のほうへ引き寄せ、タコさんウインナーを見つめています。
そして、小さな声で聞いてきました。
「これ、野菜少ないの?」
私は胸が詰まりました。
「大丈夫だよ。今日は遠足だから、好きなものいっぱい入れたんだよ」
そう答えましたが、娘は少し気にしているようでした。
別のママが何気なく言ったこと
そのとき、少し離れたところに座っていた別のママが、こちらを見て笑いました。
「タコさんウインナー、かわいいね」
娘が顔を上げます。
「うちの子もウインナー大好き。遠足の日くらい、好きなものがいっぱい入ってるとうれしいよね」
そのママは、それだけ言って自分のお弁当に戻りました。
誰かを注意したわけでも、ママ友の発言を否定したわけでもありません。
けれど、その何気ない一言に、私は少し救われた気がしました。
娘も安心したように笑い、タコさんウインナーを一つ箸でつまみます。
「これ、昨日ママが作ったんだよ」
今度は隣にいた友達へ、またうれしそうに見せていました。
先ほどのママ友も、それ以上お弁当について何か言うことはありませんでした。
その後は子どもたちの話になり、昼食の時間はいつも通り過ぎていきました。
帰り際、私は声をかけてくれたママにお礼を言いました。
「さっき、ありがとうございました」
すると、その人は少し不思議そうな顔をします。
「え?ウインナーのこと?」
どうやら、本当に深い意味はなかったようです。
でも、だからこそありがたく感じました。
お弁当の中身は、それぞれの家庭で違います。栄養を考えることももちろん大切ですが、楽しみにしている子どもの目の前で、ほかの家庭のお弁当を評価する必要はないのではないかと思います。
あの日、娘がもう一度うれしそうにお弁当を食べ始めた姿を、今でもよく覚えています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














