「お宅の収入は、いったいどれくらいなの」顔合わせの場で踏み込む質問を続ける親戚。角を立ててはいけないと思いながら返した一言とは
両家がそろった昼下がり
娘の婚約が調い、両家の顔合わせの席が設けられました。しゃれた個室に、両家が向かい合って腰かけます。私は穏やかな会になればと、心から願っていました。
前菜が運ばれる頃までは、和やかそのものでした。互いの近況を語り合い、娘とお相手のなれそめに、みなで目を細めたりもしていました。
空気が変わったのは、先方の親戚だという男性が、ふいに身を乗り出してきた時からでした。
踏み込みすぎる質問
「ところで、お宅の収入は、いったいどれくらいなの」
初対面だというのに、その男性は遠慮なく懐へ踏み込んできました。
私が言葉を濁すと、少し間を置いてまた同じことを尋ねてきます。
答えたくないと察してもよさそうなものを、男性はいっこうに引き下がりません。
それどころか、質問はさらに際どくなっていきました。
「将来は、どっちの家に寄って暮らすつもりなのかな」
あまりの踏み込みように、先方の親御さんまでもが気まずそうに目を伏せています。
娘とお相手も、どう取りなせばいいのか分からず、固まったままでした。
穏やかにかわした帰り際
私は角を立てぬよう、けれど芯だけは通して受け答えを続けました。
笑顔を絶やさず、答えたくないことは、やんわりと受け流していったのです。
「そのあたりは、これから二人でゆっくり決めていくことですね。若い二人の好きにさせてやりたいと思っておりますの」
穏やかな口調のなかに、これ以上は踏み込ませないという線を、そっと引いた返しでした。
男性も、さすがにばつが悪くなったのか、それきり口をつぐみます。
それでも帰り際、男性は念を押すように言いました。
あなたはしっかりした人で安心したよ、でも、うちは何かと大変な家だから覚悟しておいてね、と。
私はまた、にこやかに頷いてみせました。
「ええ、覚悟なら十分に。娘は良い子ですから、どんなお家に入ってもきっと大丈夫ですわ」
言い負かすのではなく、品よくかわして受け流す。それだけで、場の主導権はいつの間にかこちらへ戻っていました。
娘の幸せな門出は、最後まで穏やかな空気のまま、無事に締めくくられたのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














