「嫌なこと言われた」幼稚園生の時の呼ばれた親戚の結婚式。だが、いとこの服装に感じた本音
きちんと教わったマナー
幼稚園に通っていた頃の話です。親戚の結婚式に呼ばれ、私は母と一緒に、当日いったい何を着ていくかを、あれこれ相談していました。
初めて出る大人の晴れの席に、私は少しだけ緊張していたのを、今でも覚えています。
そのとき母から、大切なことを教わりました。
真っ白なドレスは花嫁さんだけに許された色で、招かれた側の人間が着てはいけないのだと。子ども心にも、それは守るべき約束なのだと感じたのです。
私は「わかった」と、素直にうなずきました。
母が選んでくれた黒いワンピースに袖を通し、お行儀よくしていようと、幼いなりにきちんと心へ決めていました。
天使とほめられて
式がはじまると、会場は華やかな空気に包まれていました。
そんななか、私はひとりのいとこの姿に、思わず釘づけになってしまいました。
そのいとこは、まだ5歳くらいの女の子でした。身にまとっていたのは、レースがふんだんにあしらわれた、目のさめるような真っ白いドレスだったのです。
まわりの大人たちは、その子を見て「天使みたい」と、うっとりした様子でほめそやしました。
だれひとりとして、その白い色をとがめる人は、いなかったのです。
きちんと黒を選んできた私は、なんだか自分だけが場違いのように思えて、そっと下を向いてしまいました。
せっかくのお祝いの席なのに、私の心は、どんどん沈んでいくばかりでした。
落ち込んだ本音
おまけに、そのいとこは私を見つけると、無邪気な声で、こんなふうに言ってきたのです。
「まっくろだね、あくまさんみたい」
悪気などないのは、幼い私にもよく分かりました。それでも、ルールを守った自分が悪魔で、何も知らずに白を着た子が天使。その落差が、どうにも呑み込めませんでした。
ずいぶんあとになって、私はようやく母に、その日のことをぽつりと打ち明けました。
「嫌なこと言われた」
母はそっと抱きしめて、「あなたは間違っていなかったのよ」と言ってくれました。うれしかったはずなのに、胸のもやもやは、なかなか晴れてくれなかったのを覚えています。
きっと正しさというものは、いつも分かりやすくほめてもらえるとは、かぎらないのでしょう。あの日おぼえた小さな寂しさは、今もそっと、私の心の隅に居座り続けています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














