「家の名義変更はどこまで進んでいるんだ」祖父の一周忌の会食で家の相続について話し始めた伯父→我慢出来ずにぶつけた気持ち
一周忌を終えたあとの会食で
昨年亡くなった母方の祖父の一周忌で、親族が集まったときのことです。
午前中に菩提寺で法要を済ませたあと、祖母や母、伯父たちと一緒に、寺から車で十数分ほどの場所にある料理店へ移動しました。
案内されたのは、十人ほどが座れる畳敷きの個室です。
祖父は生前、親族が集まると昔の仕事の話や、孫が幼かった頃の話をよくしていました。そのため会食が始まると、自然と祖父の思い出話になりました。
「じいちゃん、写真を撮るときだけ妙に姿勢がよかったよね」
私がそう言うと、母や伯母も笑いながらうなずきました。
祖母も、遺影とは違う祖父の表情を思い出したのか、静かに笑っていました。
ところが食事が半分ほど進んだ頃、母の兄である伯父が、祖母に向かって尋ねました。
「ところで、家の名義変更はどこまで進んでいるんだ」
祖父名義だった自宅については、祖母が引き続き暮らすことになっていました。
ただ、必要な書類がまだすべてそろっておらず、手続きの途中だと聞いていました。
確認しなければならない大切な話ではあります。しかし、祖母は突然の問いかけに困ったような顔をして、箸を止めました。
母が「そのことは、また別の日に話そう」と促しましたが、伯父は気になっていたことを一度に確認したかったようです。
「先延ばしにしても仕方ないだろう。必要な書類だってあるんだから」
声を荒らげていたわけではありません。それでも、祖父の思い出を話していた席で、家の名義や今後の管理について具体的な話が続き、部屋の空気は少しずつ重くなっていきました。
話し合う日を、あらためて決めることに
祖母は手元の膳を見たまま、ほとんど口を開きませんでした。
私は伯父の向かい側に座っていました。少し迷いましたが、そのまま話が続くのもつらく感じ、口を挟みました。
「伯父さん、その話が必要なのは分かるけど、今日はやめよう」
伯父はこちらを見て、少し驚いたような顔をしました。
私は続けました。
「書類を持っている人もいないし、ここで話しても確認できないことが多いでしょう。日を決めて、必要なものをそろえてから話したほうがいいと思う」
母も「私から司法書士さんに確認して、みんなに連絡するから」と付け加えました。
伯父はすぐには返事をせず、しばらく黙っていました。しかし、やがて小さくうなずきました。
「分かった。じゃあ、今月中に一度集まろう」
それ以上、相続の話が続くことはありませんでした。
会食の空気がすぐに元どおりになったわけではありませんが、伯母が祖父の趣味だった家庭菜園の話を始めると、少しずつ会話が戻ってきました。
帰り際、祖母は店の玄関で靴を履きながら、私に小さな声で言いました。
「話さなきゃいけないことだけど、今日は気持ちが追いつかなかったの」
数日後、母が親族の予定を確認し、家の手続きについて話し合う日が決まりました。その席では必要な書類を見ながら、一つずつ確認できたそうです。
大切な話だからこそ、いつ、どこで話すかも考えなければならないのだと思います。祖父を偲ぶために集まったあの日、話題をいったん止めたことは間違っていなかったと感じています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














