「貸切風呂、時間決まってるんだよね」夕食を急かす隣の客。だが、仲居さんが提案したこととは
隣の席から何度も聞こえてきた「まだですか」
家族で温泉旅館を訪れたときのことです。
夕食は、大きな広間でいただくことになっていました。
いくつもの家族が同じ座敷を利用していましたが、それぞれ自分たちの食事や会話を楽しんでいて、落ち着いた雰囲気でした。
私たちの隣には、4人ほどのグループが座っていました。
最初は普通に食事をしていたのですが、途中から一人の女性が時計を気にするようになりました。
「貸切風呂、時間決まってるんだよね」
どうやら食後に貸切風呂を予約していて、その時間に間に合うか心配しているようでした。
理由を聞けば、焦る気持ちは分からなくもありません。ただ、そこから料理を運ぶ仲居さんを何度も急かすようになったのです。
「次の料理、まだですか?」
仲居さんが「ただいまご用意しております」と答えて下がっても、しばらくするとまた声をかけます。
「お風呂の時間があるから、できれば早く出してほしいんですけど」
料理は順番に運ばれていましたし、私たちの席も同じくらいのペースでした。
それでも隣の席では、「まだ来ない」「これじゃ間に合わない」といった声が何度も聞こえてきました。
次第に声も大きくなり、近くの席の人たちも気にしている様子でした。
「お時間が心配でしたら」と仲居さんが提案したこと
しばらくすると、先ほどとは別の仲居さんが隣の席へやってきました。
「貸切風呂のお時間があるとうかがいました」
女性はすぐに答えました。
「そうなんです。だから料理を早くお願いしているんです」
すると仲居さんは、落ち着いた声で説明しました。
「お料理は順番にご用意しておりますので、すべてを続けてお持ちするのが難しい場合がございます」
女性は少し不満そうな顔をしていましたが、仲居さんは続けました。
「貸切風呂のお時間がご心配でしたら、こちらで時間を確認いたします。食事の途中で一度お席を離れていただくこともできますので、まずはお声をおかけください」
そして少し間を置いてから、こう付け加えました。
「ただ、こちらはほかのお客様もご一緒の広間ですので、お声の大きさだけ少しご配慮いただけますでしょうか」
強い言い方ではありませんでした。
それでも女性は周囲を見て、自分たちの声が思っていた以上に響いていたことに気づいたようでした。
「あ…すみません」
隣にいた男性も、「時間は確認してもらえばいいよ」と女性に声をかけていました。
その後、仲居さんが貸切風呂の時間について確認してくれたようで、隣の席から料理を急かす声は聞こえなくなりました。
事情があって急いでいたとしても、周囲のお客さんやスタッフまで急かしていいわけではありません。
ただ注意するのではなく、困っている理由を聞いたうえで別の方法を提案した仲居さんの対応が、とても印象に残った出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














