tend Editorial Team

2026.08.26(Wed)

「この子も同じ高校に受かったんだって」いとこの合格祝いで黙っていた僕。だが、親戚がかけてくれた一声

「この子も同じ高校に受かったんだって」いとこの合格祝いで黙っていた僕。だが、親戚がかけてくれた一声

いとこの合格の話で、親戚みんなが盛り上がっていた

高校受験を終えたころ、祖母の誕生日に親族が集まりました。

祖母の家には、僕と同い年のいとこが住んでいました。毎日顔を合わせていることもあって、祖母はその子の学校生活や受験のことをよく知っていました。

一方、僕の家は少し離れていて、祖母に会うのは親族が集まるときが中心でした。

その日も食事をしながら近況を話していると、自然といとこの高校受験の話になりました。

「合格したんだってね。おめでとう」

親戚たちから次々に声がかかります。

僕も一緒になって「おめでとう」と言いました。

実は、僕もその少し前に高校へ合格していました。それも、いとこと同じ高校です。

ただ、わざわざ会話を止めて「僕も受かりました」と言うのも違う気がして、そのまま黙っていました。

少し寂しくなかったと言えば嘘になります。それでも、単に僕のことを知らないだけなのだろうと思っていました。

隣にいた親戚が、何気なく僕に聞いた

しばらくすると、近くに座っていた親戚が僕に声をかけました。

「そういえば、お前も受験だったよな。高校は決まったのか?」

「はい。受かりました」

「どこに?」

僕が高校の名前を答えると、その人は少し驚きました。

「なんだ、同じところじゃないか」

それから周りに聞こえる声で、こう言ったのです。

「この子も同じ高校に受かったんだって」

それまでいとこを囲んでいた親戚たちが、一斉に僕のほうを見ました。

「え、そうだったの?」

「それはおめでとう」

「二人とも同じ高校なんだね」

今度は僕にも祝いの言葉が向けられました。

祖母も少し驚いた様子で、「知らなかった。おめでとう」と言ってくれました。

誰かが僕をわざと仲間外れにしていたわけではありません。ただ、普段あまり会わない僕の近況が、そこまで伝わっていなかっただけでした。

あの一声だけは、何十年経っても覚えている

帰る前、僕は声を上げてくれた親戚にもう一度お礼を言いました。

すると、その人は「せっかく受かったんだから、言えばいいのに」と笑いました。

当時の僕には、自分から話の中心に入っていく勇気がありませんでした。だからこそ、何気なく気づいて声をかけてくれたことが、うれしかったのだと思います。

あれから何十年も経ちましたが、あの日のことは今でも覚えています。

大勢で集まっていると、話している人ばかりに目が向きがちです。僕自身も、誰かが黙っているときには、少し気にかけられる人でいたいと思っています。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.08.26(Wed)

「毎朝来てるのに、俺の注文を知らないのか」怒鳴っていた常連客。だが、自分から注文を言うようになった理由
tend Editorial Team

NEW 2026.08.26(Wed)

「そんなに抱っこしていたら、甘えん坊になるよ」義母の小言に謝っていた私。だが、初めて言い返した日、義母が返した一言
tend Editorial Team

NEW 2026.08.26(Wed)

「会計する前に食べちゃったんですか」支払いをするからと未会計の食品を食べた客。だが、後ろに並んでいた人の一言に、客が固ま...
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.10.22(Wed)

前澤友作氏「移民を受け入れてまで『経済規模』を維持する必要がありますか?」と移民政策に問題提起。SNSでは「多少不便にな...
tend Editorial Team

2026.01.19(Mon)

「ごめん、猫逃げちゃった…」と謝る彼女。だが、ペットカメラが捉えていた彼女の嘘とは【短編小説】
tend Editorial Team

2025.12.30(Tue)

「今の米価は明らかに上げすぎ」「価格上げたら主食としては守れない」と批判的な声も。お米ソムリエ・松村沙友理、日本のコメ政...
tend Editorial Team