「え!クサイ!何の匂い?」原因は隣のベランダのごみ袋。だが、注意した時の隣人の言い分とは
朝、窓を開けるのをためらうようになった
隣の部屋に夫婦が越してきてから、一年ほどは特に困ることもありませんでした。
変わったのは、二年目の春です。
ごみの収集日の前になると、隣のベランダから気になるにおいが漂ってくるようになりました。
(え!クサイ!何の匂い?)
仕切り板の下の隙間から、ごみ袋らしいものが見えることがあります。どうやら前日の夜から外に出しているようでした。
わが家では、朝起きたら窓を開けるのが昔からの習慣です。それなのに、そのころから窓に手をかけては、
「…今日はやめておこうかな」
と閉めたままにする朝が増えました。
久しぶりに帰省した娘にも、
「あれ?今日、窓開けないの?なんか部屋こもってない?」
と言われました。
「ちょっとね。最近、開けにくくて」
そう答えながら、隣のことを娘にまで話すのも嫌で、それ以上は言いませんでした。
「置くところがなくて」と返ってきた
ある夕方、隣のベランダから物音が聞こえました。
今なら話せるかもしれない。そう思ったものの、いざ声をかけるとなると少し緊張しました。
「あの、すみません。ちょっといいですか?」
「はい?」
仕切り板の向こうから、隣の奥さんの声が返ってきます。
「ごみなんですけど…前の日の夜からベランダに置いてますよね?」
一瞬、返事が止まりました。
「ああ……はい。家の中だと、においが気になっちゃって」
その理由を聞いて、少しだけ納得しました。隣も隣で困っていたのでしょう。
それでも、こちらの部屋ににおいが入ってくることには変わりません。
「そうなんですね。でも、うちも朝に窓を開けると、においが入ってきちゃって…できれば朝に出してもらえると助かるんですけど」
すると奥さんは、少し困ったような声で答えました。
「でも、うち狭いんですよ。ごみの日まで置いておく場所がなくて」
「それは分かるんですけど…」
私が言葉に詰まると、奥さんは続けました。
「うちのベランダに置いてるだけですよね?」
責めるような強い言い方ではありませんでした。ただ、「こちらにも事情がある」と言いたいのだろうと感じました。
「そうなんですけど、においが入ってきて困ってるのは本当なので…ちょっと考えてもらえませんか」
「……分かりました」
返事はありましたが、納得しているようには聞こえませんでした。
数日たっても、状況は変わらなかった
それから数日後、また収集日の前夜に同じにおいがしました。
もう一度直接言うべきか迷いましたが、隣同士です。
顔を合わせるたびに気まずくなるのも避けたくて、私は管理会社に電話をしました。
「隣の部屋を名指しで注意してほしいわけじゃないんです。ただ、前の日からごみを外に置かないように、全体に案内してもらうことってできますか?」
担当の人は事情を聞いたあと、
「分かりました。特定のお部屋ではなく、皆さんへのお願いという形で出しますね」
と答えてくれました。
数日後、集合玄関の掲示板に注意文が貼られ、各部屋の郵便受けにも同じ案内が入っていました。
ごみは決められた日時に出すこと、前日の夜からベランダや共用部分にごみ袋を置かないこと。誰か一人を責めるような書き方ではありませんでした。
「朝に出すようにします」
その週の終わり、階段のところで隣の奥さんと顔を合わせました。
お互いに軽く頭を下げて通り過ぎようとしたとき、奥さんのほうから足を止めました。
「あの、この前のごみのことなんですけど」
私は少し身構えました。
すると奥さんは、気まずそうに視線をそらしながら言いました。
「やっぱり、これからは朝に出すようにします。家の中に置ける場所、ちょっと作ったので」
思っていなかった言葉に、私は思わず、
「あ……ありがとうございます。助かります」
と頭を下げました。
奥さんも「いえ」とだけ返して、そのまま階段を上がっていきました。
それから、収集日の前夜に気になるにおいがすることはなくなりました。
夏のはじめの朝、私は久しぶりに迷わず窓を大きく開けました。
外の空気が部屋に入ってきても、もう気になるにおいはありません。
隣からは、洗濯物を干しているらしい小さな物音が聞こえていました。
後日、娘と電話をしているとき、私は何気なく言いました。
「そういえば最近、また朝から窓開けてるよ」
「よかったじゃん。やっぱり朝はそれがいいよ」
娘のその一言に、私も「うん」と笑いました。
大げさな解決ではありません。それでも、ずっと気になっていたことがなくなり、いつもの朝が戻ってきただけで、気持ちはずいぶん軽くなりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














