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2026.09.11(Fri)

「髪、隣の方に当たってますよ」朝の満員電車で身支度を続ける女性。だが、近くの乗客が注意した結果

「髪、隣の方に当たってますよ」朝の満員電車で身支度を続ける女性。だが、近くの乗客が注意した結果

混んだ車内で、何度も腕に触れてきた

朝の電車は、鞄を持ち直すのにも気を使うほど混んでいました。

私は連結部の近くで手すりにつかまり、降りるまでの十数分をなるべく静かに過ごしていました。

途中の駅で乗ってきた女性が、私のすぐ横に立ちました。まだ少し濡れている髪が肩にかかっていて、電車が揺れるたびに毛先が私の頬に触れます。

「まあ、これくらいは仕方ないか」

そう思っていたのですが、女性は鞄の中を探り始めました。

取り出したのは小さな容器。ふたを開けると、指先に取ったものを頬や額へ塗り始めたのです。

そのたびに腕が大きく動き、手の甲が私の腕に何度も当たりました。

一度なら我慢できます。

でも、また当たる。そのたびに私は少し体を引きました。

前にいた男性も窮屈そうに立ち位置を変え、後ろの人も鞄を胸の前へ抱え直しています。

「すみません、ちょっと…」

そこまで頭には浮かぶのに、声が出ませんでした。

これだけ静かな車内で注意したら、周りの視線まで集まりそうな気がしたのです。

「あの、髪が当たってますよ」

そのとき、女性の反対側に立っていた年上の女性が、遠慮がちに声をかけました。

「あの、すみません。髪、隣の方に当たってますよ」

「えっ?」

女性はきょとんとした顔をしてから、私のほうを見ました。

「あっ…ごめんなさい」

慌てて髪を手でよけましたが、まだ手には開いた容器を持ったままです。

すると年上の女性が、少し困ったように続けました。

「あと、さっきから腕も当たってるみたいで。今日はかなり混んでるから……」

女性は一瞬黙り、今度は自分の腕と私との距離を見ました。

「あ…本当ですね。ごめんなさい。全然気づいてなくて」

その声は、言い訳をするというより、本当に今気づいたような響きでした。

「大丈夫です」

私もようやく、それだけ返しました。

女性はすぐに容器のふたを閉めて鞄へしまい、髪も後ろでひとつにまとめました。それからは腕を体の前に寄せ、窓のほうを向いて静かに立っていました。

誰かが怒鳴ったわけでも、言い争いになったわけでもありません。それでも、さっきまで感じていた窮屈さはなくなりました。

その夜、母に朝の出来事を話しました。

「私、何も言えなかったんだよね。嫌だなとは思ってたのに」

すると母は少し考えてから言いました。

「でも、その人も言われて気づいたんでしょう?最初からわざとだったわけじゃないんじゃない」

「うん。注意されたら、すぐやめてた」

「じゃあ、ちゃんと伝わってよかったね。言い方も上手だったんだろうね」

強く責めなくても、困っていることは伝えられる。

次に同じような場面に出会ったら、私もあの女性のように、落ち着いてひと言伝えられたらと思った朝でした。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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