tend Editorial Team

2026.10.13(Tue)

「部屋までわざわざ、ごちそうさまです!」管理人さんへの言い間違い。引っ越し当日、思わぬ形で返ってきた

「部屋までわざわざ、ごちそうさまです!」管理人さんへの言い間違い。引っ越し当日、思わぬ形で返ってきた

管理人さんへのお礼で、まさかの言い間違い

以前、私が一人暮らしをしていたマンションには、70代くらいの気さくな管理人さんがいました。

住人の顔をよく覚えていて、顔を合わせれば必ず声をかけてくれる人でした。

ある日、マンションの入口にある自動ドアの調子が悪くなりました。

その日は朝から部屋で仕事の書類を作っていた私。締め切りが迫っていて、頭の中は仕事のことでいっぱいでした。

昼過ぎ、突然玄関のチャイムが鳴りました。

「はーい」

ドアを開けると、道具箱を持った管理人さんが立っています。

「ああ、いたいた。入口のドア、直しておいたからね。ほかに引っかかったりしてなかった?」

どうやら修理後の様子を確かめるために、各部屋を回っているようでした。

「あ、今日はまだ外に出てなくて…。わざわざ上まで来てくださったんですか?」

「そうそう。順番に聞いて回ってるんだよ」

わざわざ階段を上がって来てくれたことがありがたくて、私はお礼を言おうとしました。

ところが、疲れていたせいでしょうか。

口から飛び出したのは、とんでもない言葉でした。

「部屋までわざわざ、ごちそうさまです!」

「…え?」

管理人さんが目を丸くしました。

「あれ?私、何かごちそうしたっけ?」

そこでようやく、自分が何を言ったのか気づきました。

「あっ!違います!お疲れさまですって言いたかったんです!」

慌てて言い直す私を見て、管理人さんは大笑い。

「ははは!びっくりしたよ。何も食べてないのにねえ!」

私も恥ずかしくなって笑ってしまいました。

このときは、ただの言い間違いで終わると思っていたのです。

引っ越しの日まで続いた、管理人さんとの合言葉

翌朝、ゴミを出しに行くと、入口を掃除していた管理人さんと顔を合わせました。

「おはよう!今日も何もごちそうしてないよ!」

「もう!昨日のこと、まだ覚えてるんですか!」

管理人さんは楽しそうに笑っています。

それ以来、顔を合わせるたびに例の言い間違いを持ち出されるようになりました。

郵便受けの前でも、自転車置き場でも同じです。

いつの間にか私も開き直り、管理人さんを見かけると先に声をかけるようになりました。

「管理人さん!今日もごちそうさまです!」

「はいはい。何も出してないけどね!」

ある日、いつものように声をかけると、管理人さんが笑いながら言いました。

「これで10回目だね」

「えっ、数えてるんですか!?」

「管理人室のカレンダーにつけてるんだよ」

「そこまでしなくても!」

思わず吹き出してしまいました。

そんなやり取りが数か月続いたころ、私は仕事の都合で引っ越すことになりました。

引っ越し当日の朝、かばんを持って入口へ向かうと、管理人さんが待っていてくれました。

私はいつものように声をかけます。

「管理人さん、今日もごちそうさまです!」

「ははは!今日で30回目だよ。でも結局、一度もごちそうしてないねえ」

「ふふっ。実は、今日は違うんです」

私はかばんを開け、前日に買っておいた小さなお菓子の箱を取り出しました。

「これ、よかったら。今日は私がごちそうします。今まで本当にありがとうございました」

管理人さんは少し驚いた顔をして、箱を両手で受け取りました。

「いやあ、こちらこそ。ありがとうね」

そして、こちらを見てにっこり笑うと、元気よく言ったのです。

「ごちそうさまです!」

「あはは! 今度は管理人さんが言う番ですね!」

まだ食べてもいないのに、早速「ごちそうさま」。思わず二人で笑ってしまいました。

管理人さんはお菓子の箱を大事そうに抱えながら、最後にこう言いました。

「30回目で、やっと本当にごちそうになったね!」

たった一度の恥ずかしい言い間違いが、こんなに楽しい思い出になるなんて。

今でも「ごちそうさまです」と口にするたびに、あの管理人さんの笑顔を思い出します。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.13(Tue)

「ゆうべは玄関の明かりが11時まで点いてたわね」笑顔で話す隣の女性。毎日開いている窓が怖くなった理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.13(Tue)

「サボった30分、残業で返せ!」渋滞で遅れた私を怒鳴り、自分は休む暇もなかったと言い張る課長の真相
tend Editorial Team

NEW 2026.10.13(Tue)

「課長に、夕飯の希望を送った」妻あてのメッセージを誤送信した僕。笑わない上司から1分後に届いた思わぬ返信
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.04.02(Thu)

2026年春の主役「コグマパン」とは?さつまいもソックリな見た目と、もちホク食感で全世代が夢中
tend Editorial Team

2025.11.10(Mon)

ホリエモンが『DOWNTOWN+』の今後を予想→「松本の笑いを理解出来るわけない」「評価できるステージにもいない」と批判...
tend Editorial Team

2026.05.07(Thu)

「結婚しても親戚付き合いはしない主義」彼女から告げられた考え方。半年間付き合った彼女と続かないと感じたワケ
tend Editorial Team