「ねえ、あの人見て」街を一緒に歩くたび他人の見た目を大声で品評する夫→いつか怒られそうな日々の恐怖
隣を歩くたび耳元に届く他人への品評
休日に夫と二人で街へ出かけると、楽しいはずの時間がいつのまにか別のものに塗り替えられていきます。
商店街を抜けて駅前に向かう途中、夫がふいに私の腕を軽く突つき、こう言うのです。
「ねえ、あの人見て」
視線の先には、向こうから普通に歩いてくる綺麗な女性。
私が反応するより先に、夫は声のボリュームをほとんど落とさないまま続けます。
「うわ、あれ整形だよ」
すれ違った女性が一瞬足を止めかけ、それから何事もなかったように歩き続けていく。
聞こえなかったふりをしてくれた背中に、私は心の中で深く頭を下げる。
隣の夫の腕を引っ張りながら、口元だけで「ちょっと」と注意するのです。
けれど夫は、何が悪いのかピンと来ていない様子で「思ったこと言っただけ」と笑う。
カフェの隣の席、ベンチに座る人、信号待ちの行列。
出かけるたびに、夫の品評は止まりません。
本人としては、ただの感想を口にしているだけ。問題なのは、その感想に必ず誰かを傷つける言葉が混じっていて、しかも当事者に届く距離で漏らされるということなのです。
いつかブチ切れられそうな夫と隣で凍る私
歩きながら、私の頭の中ではある光景がぐるぐる回ります。
誰かが立ち止まり、振り返り、夫の胸ぐらを掴んで「今、何て言いました?」と詰め寄る光景。
普通に歩いていたところに知らない男から見た目の品評を投げられた女性が、当然の怒りで爆発する瞬間。
連れの男性が血相を変えて駆け寄ってくる場面も、頭の片隅でリアルに描かれます。
(そうなった方がいいのに)
本気でそう思ってしまう自分に、私はまたゾッとするのです。
誰かに本気で怒鳴り返されて、夫が初めて自分の言動を振り返る。
もうひとつ、私を黙らせる考えがあります。
(私のことも、こうやって誰かと比べて品評しているのではないか)
家でくつろいでいる時に向けてくる「綺麗だよ」の言葉と、街ですれ違った女性に向ける「整形だよ」の声。
あの二つを同じ口から同じ顔で発している事実が、私の中でつながらないのです。
優しい夫と、平気で人を切る夫が、同じ人だと思いたくない夜があります。
休日の街並みは穏やかで、人々はそれぞれの予定で行き交っている。その中を隣でぼそぼそと品評を続ける夫と歩きながら、いつかどこかで起きる衝突を恐れて、私は背筋を冷やしているのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














