「うちの息子に務まるとは思えない」評判のお店を経営する婚約者の父→ネット検索で出てきた実態に夫婦で言葉を失った夜
挨拶に来たお嬢さんの、気持ちのいい笑顔
玄関で頭を下げたお嬢さんは、想像していた以上にきちんとした人でした。
髪をひとつにまとめ、控えめな色のワンピースに、よく磨かれた靴。
手土産の渡し方ひとつ取っても、家でしっかり育てられたのが伝わってきます。
息子の隣に座った彼女は、私たち夫婦と目を合わせて、はにかむように笑いました。
会社員として勤め上げてきた私からすると、息子の婚約者がここまで芯のある女性だったのは、正直うれしい誤算でした。
妻もリビングに料理を運びながら、ずっと笑顔を絶やさずにいます。
会話が家族の話に及んだとき、彼女は背筋を伸ばして言いました。
「父は、地元でいくつかお店を経営しています」
名前を聞いた瞬間、私の中でかすかに何かが引っかかりました。
地元の経済誌や知人の口から、やり手社長として何度か耳にしたことのある名前です。
そのときは、立派なお父さんなんだなと素直に受け止めていました。
食卓を囲み終え、彼女が息子と一緒に帰っていったあと、私と妻はソファに並んで腰を下ろしました。
「うちの息子に務まるとは思えない」
妻の口からこぼれた一言に、私は静かに頷くしかありませんでした。
名の通った社長の娘さんと、ごく普通のサラリーマン家庭で育った息子。
家どうしの釣り合いを思ったとき、心配が先に立ったのは正直なところです。
パソコンの画面を覗き込んだ、その瞬間
食器を片付け終えた妻が、リビングのパソコンを開いて社長さんの名前を打ち込みました。
一緒に覗き込んだ私は、画面に並んだ検索結果を見て、思わず息を止めました。
上位に出てきたお店の紹介ページは、複数の店舗を抱える、まさに評判通りの経営手腕でした。
「これ全部、お父様の会社が運営しているお店なのね」
妻の声は、震えていたわけではありません。
ただ、いつもより一段低くて、何かを必死に飲み込んでいるような響きがありました。
それでも、彼女があの家でどんな景色を見ながら大人になったのか、私たちの物差しでは測れません。
(息子は、このことをぜんぶ知った上で連れてきたのだろうか)
私たちはその夜、なかなかソファから動けませんでした。
感じのいいお嬢さんでした。誠実なお嬢さんでした。
それでも、検索結果を見たあとに残ったのは、自分たちの心が知らない方向に身構えてしまったという、寒々しい後味だけだったのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














