「もう出ないと遅れちゃう」バッグが見つからず焦る妻。寝室に戻った私が鏡を見て思わず笑った理由
出かける直前、妻のバッグが見つからない
日曜の昼、妻は友人とお茶をする約束があり、寝室の鏡台に向かって化粧をしていました。
私は居間でお茶を飲みながら、妻の鼻歌を聞いていました。
ずいぶん楽しそうだな、と思っていたのですが、しばらくすると寝室から物を動かす音が聞こえてきました。
押し入れを開け閉めする音までします。
何をしているのだろうと思っていると、外出着に着替えた妻が居間にやってきました。
「お父さん、ちょっといい?」
「どうした?そろそろ出る時間じゃないのか」
「そうなんだけど……バッグがないのよ。さっきから探してるのに」
妻が探しているのは、いつも外出するときに持っていく茶色いハンドバッグでした。
「あんな大きいバッグがなくなるわけないだろう。台所に置いたんじゃないか?」
妻は買い物から帰ると、台所の椅子に荷物を置くことがあります。
ところが、見に行っても椅子にはエプロンがかかっているだけでした。
「あれ、おかしいな。じゃあ玄関は?」
「さっき見たけど、なかったわよ」
念のため確認してみましたが、やはり見当たりません。
寝室の鏡に映っていた意外なもの
それから2人で居間の棚を調べ、押し入れの布団の間まで探しました。
もしかしたら車に置き忘れたのかもしれないと思い、駐車場の車のドアも開けてみましたが、ありません。
妻は何度も腕時計を見ています。
「どうしよう。もう出ないと遅れちゃう」
「まあ、落ち着けって。もう一回、最初から見てみよう」
そう言って、2人で寝室へ戻りました。
入口に立ったとき、ふと鏡台の鏡に茶色いものが映っているのが目に入りました。
「ん? ちょっと待てよ…」
視線を下ろすと、鏡台の前にある小さな椅子の上に、見覚えのあるハンドバッグが置いてあったのです。
「おい、あれじゃないか?」
私が指さすと、妻は椅子を見て目を丸くしました。
「えっ!あら、やだ!そこにあったの?」
妻はバッグを手に取ると、思い出したように言いました。
「そうだわ。お化粧する前に、ここに置いたんだった!」
バッグを椅子に置いたので、妻は立ったまま鏡に向かって化粧をしていたそうです。
つまり、探していたバッグは、妻が化粧をしていた間もずっと目の前にあったのです。
鏡の中にも映っていたのに、化粧に気を取られて、すっかり見落としていたのでしょう。
「なんだよ、こんなところにあったのか!」
私が笑い出すと、妻も口元を押さえて笑い始めました。
あれだけ家じゅうを探して、車まで確認したというのに、最初にいた寝室に置いてあったとは。
2人ともおかしくなって、しばらく笑いが止まりませんでした。
ようやく笑いがおさまると、妻はバッグを肩にかけ、急いで玄関へ向かいました。
そして靴を履きながら、こちらを振り返りました。
「行ってきます!今度なくしたら、まず鏡を見ることにするわ」
その言葉に、私はまた笑ってしまいました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














