「俺、ここの店長と知り合いなんだよね」料理の遅さを理由に高いお酒を要求する男性客。店長が直接対応すると、急に勢いを失った
何度も料理を催促する男性客
居酒屋でホールの仕事をしていたころの話です。
その夜はほとんどの席が埋まっていて、厨房も次々に入る注文への対応に追われていました。
そんな中、飲み放題のコースを利用していた3人組のテーブルから、何度も声をかけられました。
呼んでいたのは、30代くらいの男性客です。
「すみません、料理ってまだですか?」
「お待たせして申し訳ありません。順番にお出ししておりますので、もう少々お待ちください」
最初はそれで納得してくれたようでした。
ところが、しばらくして隣のテーブルに料理が運ばれると、また私を呼びとめました。
「ねえ、隣にはもう来てるんだけど。こっちの料理、まだ来ないの?何回言わせるの」
「申し訳ありません。厨房に確認してまいります」
そう伝えて離れようとすると、男性はメニューを開き、飲み放題に含まれていない値段の高いお酒を指さしました。
「こんなに待たされてるんだから、これくらいサービスしてくれない?」
「申し訳ありません。こちらは別料金になりますので…」
「いや、ずっと待ってるんだよ?」
困ってしまいましたが、私の判断で無料にすることはできません。
すると男性は、少し声を大きくして言いました。
「俺、ここの店長と知り合いなんだよね。それでもダメなの?」
「そうなんですね。ただ、私では判断できませんので、店長に確認してまいります」
店長の質問に言葉を詰まらせた男性
私は厨房に戻り、店長に事情を説明しました。
料理を何度も催促されていることや、追加のお酒を無料にしてほしいと言われたこと、そして店長と知り合いだと話していたことも伝えました。
店長は話を聞くと前掛けを外し、私と一緒に男性のテーブルへ向かいました。
「お待たせして申し訳ありません。店長です」
「ああ、店長さん。料理が全然来ないんだけど」
「申し訳ありません。お料理については、すぐに確認いたします」
店長は落ち着いた口調で答えました。
そして、男性の顔を少し見つめたあと、こう尋ねたのです。
「それと、私とお知り合いだと伺ったんですが……以前、どちらでお会いしましたっけ?」
「えっ…」
男性は一瞬、言葉に詰まりました。
「いや、その…」
何か言おうとしたものの、言葉が続きません。
それまで黙っていた連れの2人も、顔を見合わせていました。
店長はそれ以上追及せず、話を戻しました。
「あと、お酒の件ですが、飲み放題に含まれていないものは別料金でお願いしているんです。申し訳ありません」
「……ああ、そうなんだ。じゃあ、いいです」
男性は小さく答え、メニューを閉じました。
すると、隣に座っていた連れの1人が、苦笑いしながら声をかけました。
「知り合いじゃなかったじゃん」
男性は何も言い返さず、気まずそうにグラスに口をつけました。
店長はそれ以上何も言わず、私と一緒にその場を離れました。
その後、料理が届くまで男性から何度も催促されることはありませんでした。
もちろん、料理をお待たせしてしまったことはこちらにも申し訳なさがあります。
ただ、だからといって追加のお酒を無料にできるわけではありません。
感情的にならず、落ち着いて対応してくれた店長のおかげで、私もほっとしました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














