「場所取りしろ、新人の仕事だ」雨の中に私を残し、部長には朝から一緒だったと言う課長。私の一言で頭を下げた
雨の芝生と新人の仕事
課長は、場所取りは新人の仕事だと私に命じました
入社半年の私の部署では毎年秋、紅葉の公園の芝生でお弁当を囲む会があります。
その日は午後から開催予定でしたが、朝から雨が降っていました。
雨が長引けば中止になるはずでしたが、課長からは予定どおり場所を確保するよう指示されていたのです。
朝早く課長に呼び出され、公園へ行くと、芝生は冷たい雨でけむっていました。
黒い傘を差した課長は、私を見るなり言いました。
「場所取りしろ、新人の仕事だ。」
「俺も新人の頃は雨でもやった。」
課長は雨の中に私を残し、喫茶店へ向かいました
私がブルーシートを広げて座ると、課長は傘を差したまま私を見下ろし、口の端を上げて言い残しました。
「雨がやむまで、喫茶店で待つ。」
「一歩でも離れたら、評価は最低だぞ。」
そう言って、課長は公園の近くにある喫茶店へ向かいました。
私の傘は、小さな折りたたみ傘だけ。
横から吹きつける雨に、肩も袖もぬれていきました。
雨が強まるたびに、このまま待ち続ける必要があるのかと疑問に思いました。
それでも、入社半年の私は課長の指示に逆らえず、雨がやむのを待ち続けたのです。
雨がやむと、課長は部長に朝から一緒だったと言いました
雨がやんだのは、お昼をだいぶ過ぎてからでした。芝生にはまだ水が残り、ブルーシートもぬれています。
気づくと、課長も戻ってきていました。
間もなく部長が到着し、会を予定どおり開けるか確認するため、私たちのところへやってきました。
私はずぶぬれのまま立ち上がりました。
すると課長が、私より先に部長の前へ出て、胸を張りました。
「朝からずっと、私も一緒でした。」
「傘も差さずに、雨の中で!」
部長はしずくを垂らす私に目を丸くし、課長は部長の顔だけを見て話し続けます。
部長の前で胸を張る課長
課長は、私は座っていただけだと部長に話しました
課長は、私の方をちらりと見て続けました。
「こいつは、座ってただけです。」
「来年もこいつに任せます!」
課長が朝からいたのは、ここではありません。
私に場所取りを押しつけ、雨がやむまで喫茶店で過ごしていたのです。
でも、私は入社半年の新人です。
違うと言えば、口ごたえだと言われるでしょう。評価は最低だぞ、という朝の声がよみがえり、私は目を伏せました。
しかし、課長の話をそのままにしておけば、来年も同じように場所取りを押しつけられるかもしれません。
それに、課長は自分が朝から雨の中にいたと言い切っています。私は意を決して、顔を上げました。
私は、課長がどこもぬれていないと伝えました
私は課長の隣に並び、その服装を見ながら言いました。
「私は傘を差しても、まだずぶぬれです。」
「課長は、どこもぬれてませんね。」
課長が、目を見開きました。
スーツは乾いていて、髪にも雨に打たれた様子はありません。片手には、きちんとたたんだ乾いた傘。もう片方の手の無地の紙のカップからは、まだ湯気が立っていました。
もちろん、服が乾いているだけで、朝から公園にいなかったと断定できるわけではありません。
しかし、課長は先ほど、傘も差さずに雨の中にいたと話したばかりです。部長も不審に思ったようで、課長の服装を確かめていました。
課長は、傘は差していた、と言いかけて口をつぐみました。自分の発言と矛盾することに気づいたのでしょう。
そこで私は、朝、課長から喫茶店で待つと告げられ、一人で場所取りをするよう命じられた経緯を部長に説明しました。
課長は頭を下げ、私は場所の番を課長に頼みました
部長は課長に事情を確認しました。課長は最初こそ言葉を濁していましたが、やがて雨が降っている間は喫茶店にいたことを認めました。
朝から一緒に場所取りをしていたという説明が事実ではなかったと分かり、部長の表情が険しくなります。
課長はしばらく黙り込んだ後、深く頭を下げました。
「も、申し訳ありません。」
私は、ぬれた服を着替えるため、一度その場を離れることにしました。
そして課長に向き直り、続けました。
「場所の番を、お願いします。」
部長は小さくうなずきました。
その後、雨で芝生がぬれていたこともあり、会は屋内に場所を変更することになりました。私が着替えに戻っている間、課長がシートや荷物の管理を引き受け、片づけも担当したそうです。
雨の中で新人一人に場所取りをさせたことも、部長から厳しく注意されたと後で聞きました。
次からは天候に応じて開催を判断し、準備も複数人で分担することになりました。あの日、思い切って事実を伝えてよかったと思っています。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














