「えっ、あれだけ飲むんですか」ファミレスで男性客を見つめる義母。グラスに注いだものを見て唖然
義母の視線の先にあったもの
義母と大人になった娘ふたりを誘い、ファミレスでお昼を食べた日のことです。
久しぶりに顔をそろえたこともあり、料理を待つあいだも話がはずんでいました。娘たちの仕事の話や、義母が育てている庭の花の話など、話題は尽きません。
ところが、ふと気づくと義母だけが黙っています。
何か気になるものでもあるのかと視線をたどると、義母はドリンクバーのほうを見つめていました。
「お義母さん、どうしたんですか?」
「あの人、さっきからミルクばっかり取ってるのよ」
見ると、ひとりの男性客がコーヒー用の小さなミルクの容器を次々と手に取っていました。
その数は、20個くらいありそうです。
男性は容器を抱えて近くの席に戻ると、ひとつずつ開けて、中身をグラスに注ぎ始めました。
空になった容器は別のグラスに重ねていきます。
私はてっきり、あとからコーヒーを入れるのだと思っていました。
ところが男性は、ミルクだけが入ったグラスを持ち上げると、そのままごくごくと飲み干してしまったのです。
「えっ、あれだけ飲むんですか」
思わず義母と顔を見合わせました。
男性は口のまわりをおしぼりでぬぐい、満足そうな表情を浮かべています。
どうやら、本当にミルクだけを飲みたかったようです。
食事そっちのけで見守った結末
しばらくすると、男性がまた席を立ちました。
義母が私の袖をそっと引っぱります。
「またミルクを持ってきたわよ」
見ると、男性は先ほどと同じように、両手いっぱいにミルクの容器を抱えて戻ってくるところでした。
「またですか。そんなに好きなんですね」
「そうみたいね。よっぽど好きなのかしら」
義母はすっかり男性のことが気になっている様子です。
私も気づけば、料理より男性のほうを見てしまっていました。
すると、向かいに座っていた娘たちが笑いながら声をかけてきました。
「ちょっと、ふたりとも。ごはん冷めちゃうよ」
「あら、そうだったわね」
義母はフォークを持ち直しましたが、まだ男性の様子が気になるようです。
私も娘たちに笑われて、ようやく食事に戻りました。
やがて男性は席を立ち、レジへ向かいました。ちょうど私たちも食事を終えたところだったので、男性の後ろに並びます。
男性は会計を済ませると、そのまま店を出ていきました。
その後ろ姿を見送りながら、義母が小声で言いました。
「それにしても、よっぽど好きなのねえ」
「そうですね。でも、あんなに取って大丈夫なんでしょうか」
コーヒーに入れるためのミルクですから、少し気になってしまいます。
「どうなのかしらね。びっくりしたわ」
義母も少し首をかしげていました。
店を出ると、娘たちが笑いながら言いました。
「ふたりとも、ずっとあの人見てたよね」
「だって、あんなにミルクを飲む人、なかなか見ないじゃない」
義母がそう返すと、私も思わず笑ってしまいました。
確かに、少し気にしすぎたかもしれません。
それでも、あの日の光景は家族にとって忘れられない出来事になりました。
今でもドリンクバーを見かけると、娘たちが時々こんなことを言うのです。
「そういえば、ミルク20個の人、いたよね」
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














