「なにこれ。ただの紙じゃない」園の秋祭りで子どもたちの作品を笑った母親。だが、息子から思わぬ質問をされて唖然
秋祭りの焼き芋屋さんで、母親が口にした言葉
園の秋祭りで、子どもたちがお店屋さんを開いた日のことです。
教室には手作りのお店が並び、娘のクラスは焼き芋屋さんを担当していました。
焼き芋は、新聞紙をくしゃくしゃに丸めて作ったもの。お客さんから紙のお金を受け取り、焼き芋を袋に入れて渡す仕組みです。
私は少し離れた壁際から、娘たちの様子を見守っていました。
お店が開くと、さっそくお友だちがお客さんとしてやってきました。
「焼き芋ください!」
「はい、どうぞ!」
娘は紙のお金を受け取り、うれしそうに焼き芋を袋へ入れていました。
そんなとき、ひとりの母親が机の前にやってきました。
母親は並んでいた焼き芋をひとつ手に取り、少し笑いながら言いました。
「なにこれ。ただの紙じゃない」
子どもたちは顔を見合わせました。
すると母親は、手に持った焼き芋を眺めながら、さらに言葉を続けたのです。
「まぁ、これが焼き芋なの?下手くそね」
その言葉に、子どもたちの表情が曇りました。
娘も袋を握ったまま、何も言えずにいます。
母親は冗談のつもりだったのかもしれません。でも、子どもたちは一生懸命に作った焼き芋を笑われたのです。
楽しそうに接客していた娘が黙り込んでしまい、私も悲しくなりました。
どう声をかけようか迷っていた、そのときでした。
「ママ、ぼくのも下手くそ?」息子のひと言に母親は……
隣のお店から、ひとりの男の子が駆けてきました。
先ほどの母親の息子です。
男の子のクラスも新聞紙で作ったお菓子屋さんを出していて、男の子は自分で丸めた新聞紙のお菓子を両手に抱えていました。
母親のそばまで来た男の子は、足を止めました。
先ほどの「下手くそ」という言葉が聞こえていたのでしょうか。少し不安そうな顔で母親を見上げると、こう聞いたのです。
「ママ、ぼくのも下手くそ?」
母親は驚いたように男の子を見ました。
「え?どうして?」
「だって、ぼくのも新聞紙だもん」
男の子は、抱えていたお菓子を母親に見せました。
母親は一瞬言葉に詰まり、先ほど自分が手に取った焼き芋へ視線を落としました。
「…そんなことないよ。上手にできてるよ」
「ほんと?」
「うん、上手だよ」
「よかった」
男の子は安心したように笑いました。
その様子を、近くにいた保護者たちも黙って見ていました。
母親は手に持っていた焼き芋を机に戻すと、娘たちのほうへ向き直りました。
「さっきはごめんね。みんなの焼き芋も、上手にできてるね」
先ほどとは違う、静かな声でした。
子どもたちは少し戸惑ったようでしたが、娘は小さくうなずきました。
母親は顔を赤くしながら、男の子と一緒にその場を離れていきました。
しばらくすると、娘は袋を持ち直し、また元気な声を上げました。
「焼き芋、いかがですかー!」
その声に、通路の向こうにいた家族連れが振り向き、机の前へやってきました。
娘がまた楽しそうにお店を続ける姿を見て、私もほっとしました。
大人にとっては何気ないひと言でも、子どもには傷つく言葉になることがあります。
自分の作ったものも笑われるのではないかと不安になった男の子の姿が、今でも心に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














