「前の担当の男の人に代わって」女性オペレーターを拒み続けた客。だが、前回の対応記録を読み上げると、突然黙り込んだ
名乗った私の声をさえぎった、交代の要求
以前、コールセンターで働いていたときのことです。
昼どきは電話が途切れることがなく、周りの席でもオペレーターたちが次々に対応していました。
ある日、入ってきた電話を受けようとすると、画面の端に注意のメモが表示されました。
女性の担当を嫌がり、男性でないと話ができないという内容です。
しかし、電話を受けた人が最後まで対応するのが会社の決まりでした。
少し身構えながら名乗ると、女性客は私の言葉をさえぎるように言いました。
「前の担当の男の人に代わって」
「恐れ入ります。担当を代わることはできませんが、これまでの経緯はこちらで確認できますので、私が承ります」
「女の人じゃ分からないでしょ。前の人を出してって言ってるの」
用件は、必要な書類を出さずに手続きを済ませたいというものでした。
私は書類が必要だと説明しましたが、女性客は納得しません。
前回の男性担当者なら融通をきかせてくれると思っているのか、何度説明しても交代を求めてきます。
「何度言わせるの。あなたじゃなくて、前の人」
「申し訳ございません。どの担当者でも、お手続きに必要な書類は変わりませんので……」
すると、電話の向こうから鼻で笑うような声が聞こえました。
「気持ち悪い声で話さないで」
その言葉には、さすがに胸が痛みました。
いっそ電話を切って、男性につながるまでかけ直してもらったほうが早いのではないか。そんな考えも浮かびましたが、会社の決まりがある以上、私が対応するしかありません。
私は気持ちを落ち着かせ、前回の対応記録を画面に大きく開きました。
前回の記録を読み上げると、女性客が黙り込んだ
そこには、前回の担当者が案内した内容が詳しく残っていました。
私は記録を確認しながら、女性客に伝えました。
「前回の担当者がお客様にご案内した内容を、読み上げますね」
「そんなの聞いてどうするのよ」
女性客は不満そうでしたが、私は落ち着いて記録を読み上げました。
書類が届くまでは手続きを進められないこと。書類の提出は省略できないこと。そして、届きしだい連絡すること。
読み進めるうちに、それまで何度も言葉をさえぎっていた女性客が、何も言わなくなりました。
「本日、私がご案内している内容も、前回の担当者がお伝えした内容と同じでございます」
電話の向こうは静かなままでした。
男性担当者に代われば、違う答えが返ってくると思っていたのかもしれません。しかし、前回の担当者も、書類が必要だとはっきり伝えていたのです。
しばらく沈黙が続いたあと、小さな声が聞こえました。
「……じゃあ、それでいいわ」
「かしこまりました。では、必要な書類と今後の流れを、もう一度ご案内いたします」
私は最後まで説明を終え、電話を切りました。
ヘッドセットを外して大きく息をつくと、隣の席の先輩がこちらを向き、黙って親指を立ててくれました。
私も小さくうなずき返しました。
相手の言葉に傷つきはしましたが、感情的にならず、記録に沿って対応できたことに少しほっとした出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














