「すみません、何番でしょうか」研修中の店員を怒鳴りつけた男性客。だが、レジの後ろから聞こえた一言に言葉を失う
研修中の店員を怒鳴りつける男性客
ある夜、翌朝のパンを切らしていたことを思い出し、近所のコンビニへ寄りました。
レジにいたのは、研修中の名札をつけた若い男性の店員さんです。
私はパンを手に、レジの列に並びました。
すぐ前には、作業着姿の、私と同じ年ごろに見える男性客がいました。私の後ろには白髪まじりの年配の男性が並び、さらに後ろにもお客さんが続いています。
順番が来ると、作業着の男性はカウンターに肘をつき、たばこの番号を早口で告げました。
店員さんは後ろの棚を見上げ、番号を探し始めました。しかし、なかなか商品を取ろうとしません。
「すみません、何番でしょうか」
店員さんが聞き直すと、男性は露骨に顔をしかめました。
「は?聞こえなかったのかよ」
「申し訳ありません。もう一度お願いできますか」
「だから、あの棚の番号だって言ってんだろ!早くしろよ!」
男性は番号を言い直さず、棚のほうを乱暴に指さしました。
店員さんは困った表情を浮かべながらも、最初に聞いた番号を頼りに箱を取り出し、カウンターに置きました。
「お待たせしました。こちらでよろしいですか?」
ところが、男性は箱を見るなり、手のひらでカウンターを叩いたのです。
「違うって!これじゃねえよ!こっちは急いでるんだよ!」
突然の怒鳴り声に、私は思わず肩をすくめました。
店員さんは目元を赤くし、何度も頭を下げています。
「申し訳ありません…」
男性はまだ不満そうに棚を指さしています。私は怖くなり、パンを棚に戻して帰ろうかと迷い始めました。
後ろに並んでいた男性が告げた一言
そのとき、私の後ろから落ち着いた声が聞こえました。
「その番号でしたよ」
声をかけたのは、後ろに並んでいた年配の男性でした。
作業着の男性が振り返ります。
「は?何が?」
「さっきおっしゃった番号ですよ。店員さんが持ってきたのは、その番号のたばこです」
「……だから、違うって言ってるだろ」
年配の男性は棚に目を向け、続けました。
「でも、さっき指さしていたのは、その隣の箱ですよね。番号を間違えていませんか?」
作業着の男性は、もう一度棚を見上げました。
店員さんが取り出した箱と、その隣に並ぶ箱を交互に見ています。
どうやら男性は、ほしいたばこの番号をひとつ間違えて伝えていたようです。
店員さんは、最初に告げられた番号の商品を正しく持ってきていたのです。
男性はしばらく黙り込みました。
私も思わずその様子を見ていました。後ろに並ぶお客さんの誰かが小さく咳払いをすると、男性の顔が赤くなっていきました。
「……隣の番号」
聞き取るのがやっとの声で、男性が番号を言い直しました。
店員さんが隣の箱を取り出して差し出すと、男性は何も言わずに代金を払い、足早に店を出ていきました。
その姿が見えなくなると、店員さんは年配の男性に向かって深く頭を下げました。
「ありがとうございます。本当に助かりました」
「いえいえ。落ち着いてやれば大丈夫ですよ」
年配の男性の穏やかな返事に、店員さんも少しほっとした表情を見せました。
「次のお客様、どうぞ」
私は握っていたパンを持ち直し、レジへ進みました。
間違いは誰にでもあることです。ただ、それを確認する前に相手を怒鳴りつけてしまえば、何も悪くない人を傷つけることになります。
あの年配の男性のように、感情的にならず、見ていた事実を落ち着いて伝えられる人でありたいと思った出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














