「いくらくらい包むものなんだ?」孫の入園祝いの金額を何日も悩んだ夫婦。だが、孫の反応に思わず笑ってしまったワケ
何日も悩んだ入園祝いの金額
春から幼稚園に通う孫に、妻と入園のお祝いを贈ることにしました。
ところが、なかなか決まらなかったのが、お祝いの金額です。
夕食を終えると、居間の座卓に向かい合い、ぽち袋や封筒を前にして相談する。そんな日が何日も続きました。
「なあ、入園祝いって、いくらくらい包むものなんだ?」
「うーん、家によって違うんじゃない?」
「そうだろうけど、少なすぎてもなあ…」
妻も困ったように首をかしげました。
「そうね。でも、多ければいいってものでもないし」
昔のように気前よくはいかないものの、かわいい孫のお祝いです。できることなら、喜んでもらいたいと思っていました。
親戚のあいだでお祝いの額が比べられることもあると聞いていたので、息子たちにどう思われるかも気になります。
結局、何日も話し合って、ようやく金額を決めました。
その翌日、妻が買い物から帰ってくると、座卓の上に小さな袋を置きました。
かわいらしいうさぎの絵が描かれた、ぽち袋です。
「なんだ、わざわざ買ってきたのか。白い封筒でもよかったんじゃないか?」
すると妻は、少しむっとした顔で言いました。
「何言ってるの。あの子に渡すんだから、かわいいほうがいいでしょ」
「まあ、そうかもしれないけど……」
私はあまり納得していませんでした。大切なのは袋より中身だと思っていたからです。
お祝いを渡す日が近づいても、やはり金額のことが頭から離れませんでした。
孫が夢中になったのは、意外なもの
週末の昼、私たちは息子の家を訪ねました。
居間では孫がうれしそうに跳ねています。息子と奥さんも、そばに座っていました。
妻と顔を見合わせてうなずき、私は孫にぽち袋を差し出しました。
「はい、これ。幼稚園に入るお祝いだよ」
孫は両手で袋を受け取ると、じっと見つめました。
どんな反応をするだろう。私は少し緊張しながら、その顔をのぞきこみました。
すると突然、孫がぱっと顔を輝かせたのです。
「わあ、うさぎの袋だ!」
うれしそうに袋を高く持ち上げたかと思うと、今度はぎゅっと胸に抱きしめました。
そして、そのまま居間をぐるぐると駆け回り始めたのです。
「あれ?中は見ないのか?」
思わず声をかけましたが、孫は袋のうさぎに夢中です。開けようとする様子もありません。
その姿を見て、妻と顔を見合わせました。
「ふふっ、あんなに喜んでる」
妻が笑い出し、私もつられて吹き出してしまいました。
あれほど金額のことで悩んでいたのに、孫が一番喜んだのは、妻が選んだぽち袋だったのです。
「お金のほうは、こっちで大事にしまっておくね」
息子も笑いながら言いました。奥さんも楽しそうです。
息子にそっと中身を取り出してもらうと、孫は空になった袋を大切そうに宝物の箱へしまいました。
その夜、自宅で妻とお茶を飲んでいると、妻が得意そうな顔をして言いました。
「ほらね。白い封筒じゃなくてよかったでしょう?」
「ははは、まさか袋に負けるとはなあ」
そう答えると、妻はまた声を上げて笑いました。
何日も悩んだ金額のことが、なんだか遠い話のように感じられました。
孫が宝物のように抱きしめていた、あのうさぎのぽち袋。思い出すたびに、今でも頬がゆるんでしまいます。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














