「大きい子がよければ済む話でしょ」すべり台で危ない遊び方をする息子を放置した母親。だが、女の子の行動に黙った瞬間
すべり台を逆からのぼる男の子
よく晴れた休日、娘にせがまれて公園へ出かけました。
すべり台の階段には子どもたちの列ができていて、娘もその後ろに並び、自分の番を待っていました。
そんなとき、2歳くらいの男の子が、並んでいる子どもたちのあいだをすり抜けて階段をのぼっていきました。
まだ小さいので、順番に並ぶことが分からないのかもしれません。
ところが、男の子はすべり終えると、今度はすべり台の斜面に足をかけ、下からのぼり始めたのです。
上からすべり出そうとしていた別の子が、慌てて動きを止めました。もう少しで、ぶつかるところでした。
(危ないな…)
少し離れたベンチには、男の子の母親らしい女性が座っていました。しかし、携帯電話の画面を見たままで、男の子の様子には気づいていないようです。
私は思い切って声をかけました。
「あの、すみません。お子さんがすべり台を下からのぼっていて…」
「え?ああ、平気平気」
女性はちらりと顔を上げただけで、また画面に目を戻しました。
「でも、上からすべってくる子とぶつかりそうになったんです。危ないので……」
すると女性は、面倒そうに眉を寄せました。
「子どもなんだから、そのくらいいいじゃない」
さらに、携帯電話を操作しながら続けます。
「大きい子がよければ済む話でしょ」
その言葉に、私は驚いてしまいました。
小さな子に順番を守らせるのは大変かもしれません。それでも、ほかの子がけがをするかもしれない状況を、そのままにしていいとは思えませんでした。
「ママ、ならぶんだって!」の一言
どう伝えれば分かってもらえるのか、私が迷っていたときです。
列に並んでいた小学生の女の子が、すべり台の下へ歩いていきました。
男の子はまだ斜面の下のほうにいました。女の子はそばでしゃがむと、優しく声をかけました。
「ねえ、ならぶのはこっちだよ。いっしょにならぼう?」
「ならぶ?」
「うん。じゅんばんにすべるんだよ」
女の子が手を差し出すと、男の子は素直にその手を握りました。
二人は階段の列の最後尾へ向かい、女の子は男の子を自分の前に入れて、一緒に順番を待ち始めました。
すると男の子が、ベンチに座っている女性に向かって大きな声を上げたのです。
「ママ、ならぶんだって!」
その声に女性は驚いたように顔を上げました。
目を向けた先には、小学生の女の子と手をつなぎ、順番を待っているわが子の姿がありました。
近くにいた保護者たちも男の子の声に気づき、ベンチのほうを振り向きます。
女性は何か言いかけましたが、そのまま口を閉じました。
そして少し顔を赤くすると、携帯電話をバッグにしまい、ベンチから立ち上がりました。
女性はすべり台のそばまで歩いてきて、男の子の様子を見守り始めました。
やがて順番が来ると、男の子は両手を広げて、楽しそうにすべり下りていきました。
女の子と目が合い、私は思わず笑顔になりました。
その間に娘もすべり終えていたようで、私のところへ戻ってくると、そっと袖を引きました。
「あのお姉ちゃん、かっこいいね」
「うん、本当だね」
私も小さくうなずきました。
男の子を叱るのではなく、優しく順番を教えてあげた女の子。
大人の私がどう言えばいいか迷っている間に、自然に手を差し伸べたその姿が、いつまでも心に残りました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














