「親のことは、関係ありません」レジで常連客に言い返した私。その後、店長が常連客をバックヤードへ案内した結果
レジで怒鳴り始めた常連客
学生のころ、私はスーパーのレジでアルバイトをしていました。
当時は会計した品物を袋に詰めて渡すのもレジ係の仕事で、夕方になると仕事帰りのお客さんでレジは混み合っていました。
ある日の夕方、私のレジに年配の男性客が並びました。何度も見かけたことのある常連客です。
会計を終え、袋を渡したところ、男性客が中をのぞいて顔をしかめました。
「おい、豆腐が横になってるじゃないか。どういう入れ方してるんだよ」
「申し訳ありません。すぐ直します」
私は慌てて豆腐を入れ直しました。ところが男性客は納得せず、レジ台に手をついて身を乗り出してきたのです。
「謝れば済むと思ってるのか?まったく、気が利かないな!」
「申し訳ありません…」
何度謝っても怒りは収まりません。手際が悪い、愛想がないと、次々に文句を言われました。
後ろには会計を待つお客さんが並んでいます。周囲の視線が気になり、私はただ頭を下げることしかできませんでした。
すると男性客が、さらにひどい言葉を口にしました。
「こんな子に育てた親もバカだろう」
その瞬間、思わず顔を上げました。
自分の失敗を注意されるなら分かります。でも、どうして親のことまで言われなければならないのでしょうか。
「……親のことは、関係ありません」
声が少し震えていました。それでも、その言葉だけは飲み込めませんでした。
「なんだと?お前、客に向かって……」
男性客がさらに声を荒らげようとしたとき、店長がレジの外側にやってきました。
「お客様、申し訳ありません。こちらでお話を伺いますので」
店長は落ち着いた口調で男性客に声をかけ、バックヤードへ案内しました。
しばらくして戻ってきた男性客は、先ほどまでとは打って変わって静かでした。
うつむいたまま私のレジの横を通り、一度もこちらを見ることなく店を出ていきました。
休憩室で初めて知った常連客のこと
その後、休憩室で一人になった私は、先ほどの出来事を思い返していました。
豆腐の入れ方が悪かったのは確かです。
でも、親のことまで言われたのがどうしても悔しくて、気持ちが落ち着きませんでした。
そこへ、ベテランのパートさんが入ってきました。
「さっきは大変だったわね。大丈夫?」
「はい…。でも、ちょっとびっくりしました」
するとパートさんは、困ったように笑いながら教えてくれました。
「あの人ね、前から何度も同じようなことで、もめてるのよ」
「えっ、そうだったんですか?」
「そうなの。店長もよく知ってるのよ。何かあると、店長が毎回、ちゃんと話をしてるのよ」
私は驚きました。店長がすぐに対応してくれたのには、そういう事情もあったのかもしれません。
パートさんは私の肩にそっと手を置きました。
「親のことまで言われたら、腹も立つわよね。あんな言い方、気にしなくていいからね」
「……ありがとうございます」
そう答えた途端、こらえていた涙がにじみました。
「ほら、元気出して。あと少し、頑張ろうね」
パートさんは私の肩を軽くたたき、笑ってくれました。
休憩を終え、私は再びレジに立ちました。次のお客さんが静かにかごを置いてくれたとき、ようやくいつもの調子で「いらっしゃいませ」と言えました。
あの日、店長が間に入ってくれたことも、パートさんが気遣ってくれたことも、今でも忘れられません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














