「車に水がかかってるじゃないか」10年以上、わが家の駐車場に入り込む隣人。だが、息子の指摘でようやく変わったこと
境目をこえてくるホース
わが家の駐車場は、隣の家の庭と接しています。
境目には細いコンクリートがあるだけで、塀も段差もありません。
隣に住むおばあちゃんは、毎朝、庭の植木や鉢植えに水をやっています。
ただ、以前から気になっていたことがありました。
境目に並んだ花に水をやるとき、おばあちゃんは決まってホースをわが家の駐車場まで引っ張ってきて、こちら側から水をかけるのです。
引っ越してきてから10年以上、ずっと同じ状態でした。
気にはなっていたものの、隣同士なのでなかなか言い出せず、毎朝のように見て見ぬふりをしていました。
そんなある朝、私が出勤しようと車のドアに手をかけたときのことです。
ホースから出た水が勢いよく跳ね、運転席側の窓にかかりました。
「あの、すみません。車に水がかかっているんですけど……」
おばあちゃんは私の車をちらりと見ましたが、水を止める様子はありません。
「ちょっと水をやってるだけじゃない。何か困る?」
「車を出すところですし、できれば駐車場には入らないでほしいんです」
すると、おばあちゃんは少し不満そうな顔をしました。
「でも、昔からここでやってるのよ。あなたが引っ越してくる前からね」
そう言って、また花に水をかけ始めました。
細かいしぶきが、再び私の車に飛んできます。
昔から続けているからといって、こちらの駐車場を使っていいわけではないはずです。
それでも、朝から言い争いになるのは避けたくて、私は濡れた窓をティッシュで拭き、車を出しました。
週末の朝、息子さんが見ていた
次の週末の朝のことです。
おばあちゃんは、またいつものようにわが家の駐車場に立ち、ホースで花に水をやっていました。
私の車にも、すでに水滴がついています。
そのとき、実家に帰ってきていた息子さんが、隣の庭先から顔を出しました。
駐車場まで伸びているホースと、濡れた私の車に気づいたようで、おばあちゃんに声をかけました。
「母さん、お隣の駐車場からホースを回すのはやめなよ」
「え?ちょっと水をやってるだけよ」
「でも、車に水がかかってるじゃないか」
「昔からこうしてるのよ」
おばあちゃんがそう言うと、息子さんは少し困ったような顔をしました。
「いや、昔からでもさ。そこ、お隣の駐車場でしょ。自分の庭から水をやらないと」
「でも、こっちからのほうがやりやすいのよ」
「それはそうかもしれないけど、車まで濡らしたら迷惑だよ。ホースが短いなら、長いのに替えればいいじゃない」
おばあちゃんは何か言おうとしましたが、今度は黙ってしまいました。
息子さんに指摘され、改めて私の車を見ています。
手に持ったホースからはまだ水が流れていて、おばあちゃんの靴の先を濡らしていました。
向かいの家でも、新聞を取りに出た人がこちらを見ていました。
息子さんは私のほうを向くと、軽く頭を下げました。
「すみません。今までご迷惑をおかけしていたみたいで」
「いえ……。でも、気をつけてもらえると助かります」
私がそう答えると、息子さんはうなずいてくれました。
翌日から、おばあちゃんは自分の庭の中から水をやるようになりました。
ホースも以前より長いものに変わっていました。息子さんが用意してくれたのかもしれません。
おばあちゃんは相変わらず毎朝水やりをしていますが、もうわが家の駐車場に入ってくることはありません。
私も、車に水がかかっていないか気にせず出かけられるようになりました。
10年以上続いていた小さなストレスがなくなり、朝の気持ちがずいぶん楽になりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














