「ああ、あれね。もう無いよ」成人祝いの10万円を預けた僕。だが、親戚の集まりで、いとこに事情を聞かれた結果
両親に預けた成人祝いの10万円
僕が20歳になった年のことです。年の離れたいとこが、成人祝いを持ってきてくれました。昔から僕を弟のようにかわいがってくれていた人です。
「これからは大人なんだから、よく考えて使うんだよ」
渡された封筒には、10万円が入っていました。
すぐには使い道が思いつかなかったため、僕はそのお金を両親に預けることにしました。
それからしばらくして、ひとり暮らしをする話がまとまりました。
引っ越しの準備に使おうと思い、ある夜、居間にいた両親に声をかけたのです。
「そういえば、前に預けた成人祝いの10万円、返してもらっていい?」
すると、母は一瞬手を止め、僕から目をそらしました。
「ああ、あれね。もう無いよ」
「えっ、無いってどういうこと?」
「家のことに使ったのよ」
思いがけない返事に、僕は驚きました。
「ちょっと待って。あれ、僕がもらったお金だよね?使うなんて聞いてないよ」
すると、母は不機嫌そうな顔になりました。
「家族のお金なんだから、家のために使ったっていいでしょ」
「でも、預けただけで、あげたわけじゃないよ」
「そんなに文句を言わなくてもいいじゃない」
父にも目を向けましたが、黙ってお茶を飲んでいるだけでした。
家のために使ったと言われても、何にいくら使ったのかは分かりません。何より、ひと言も相談がなかったことがショックでした。
結局、その日は返してもらえませんでした。自分で管理しておけばよかったと、後悔するばかりでした。
親戚の前で明らかになったお金の使い道
それからしばらくたったある日の昼、親戚の家に親族が集まりました。
居間で叔父や叔母たちがお茶を飲んでいると、成人祝いをくれたいとこが僕に話しかけてきました。
「そういえば、成人祝いの10万円、何か買った?」
「ああ、あれは…」
どう答えたらいいか迷っていると、少し離れたところにいた母が会話に入ってきました。
「あのお金ね、家のことに使わせてもらったのよ」
いとこは意外そうな顔をしました。
「えっ、そうなんですか?」
僕は思い切って事情を話しました。
「いや、預けてただけなんだけど。返してほしいって言ったら、もう使ったって言われて…」
それを聞いたいとこは、母のほうを向きました。
「あの10万円は、本人に使ってほしくて渡したんです」
そして、落ち着いた口調で続けました。
「家のために使うなら、せめて本人に聞いてほしかったです」
近くで話を聞いていた叔父も、母に尋ねました。
「預かったものを、黙って使ったのか」
母は何か言おうとしましたが、結局、言葉が出てきませんでした。
父も湯のみに目を落としたまま、何も言いません。
僕が何度説明しても取り合ってもらえなかったことを、いとこが代わりに伝えてくれました。ようやく僕の気持ちを分かってもらえたようで、少しほっとしました。
帰りの車の中でも、両親はほとんど口を開きませんでした。
ところが、翌月から少しずつお金を返してくれるようになったのです。
「……これ、今月の分」
母はそう言って封筒を差し出しました。僕と目を合わせようとはしませんでしたが、返してもらえることに安心しました。
そのお金は、新しい部屋の家具をそろえるために使いました。
あの出来事以来、大切なお金は自分の口座に入れ、自分で管理するようにしています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














