「やっと売ったよ。あの株、全部」何年も値上がりしなかった株を手放した僕。後日、妻が手帳に書いていた内容に苦笑い
何年も手放せなかった株
僕には、何年も持ち続けている株がありました。
購入した当初は、いつか大きく値上がりすることを期待していたのです。
ところが、何年たっても株価は買ったころとほとんど変わりません。
それでも気になって、毎日のように値動きを確認していました。
ある休日の昼、居間のパソコンで株価を見ていると、洗濯物をたたんでいた妻が声をかけてきました。
「またその株、見てるの?」
「うん。もう上がらない気がするんだよな」
「だったら売ればいいのに」
「そうなんだけど、ここまで持ってるとなかなかね」
妻は「そういうものなのね」と笑い、また洗濯物をたたみ始めました。
自分でも、いつまで持ち続けるつもりなのか分からなくなっていました。
そんな先月のことです。いつものように株価を確認すると、久しぶりに値上がりしていました。
買ったときよりも高くなっていたため、僕はここで売ってしまおうと決めました。
持っていた100株をすべて売却すると、長いあいだ気にしていたことから解放されたような気分になりました。
「やっと売ったよ。あの株、全部」
妻に報告すると、
「あら、よかったじゃない。ずいぶん長く持ってたものね」
「ああ。少しだけど利益も出たし、もう十分だよ」
そう答えた僕は、これで株価を気にする日々も終わりだと思っていました。
ひと月後に知った予想外の値上がり
それからしばらくして、企業を狙ったサイバー攻撃のニュースをよく目にするようになりました。
そうしたニュースを見ているうちに、売却した会社もサイバー攻撃への対策を手がけていたことを思い出しました。
ただ、すでに手放した株です。
そのときは、わざわざ株価を調べようとは思いませんでした。
ところが、売却からひと月ほどたった夜のことです。
居間のパソコンでニュースを読んでいると、見覚えのある会社名が目に入りました。
気になって株価を確認すると、売ったときよりも大幅に値上がりしていたのです。
「えっ、こんなに上がってるのか…」
思わず画面を見直しましたが、間違いありません。
「もう少し持ってればよかったな…」
売ったときには十分だと思っていたのに、いざ値上がりを知ると、どうしても悔しさが込み上げてきました。
僕がパソコンの前で頭を抱えていると、台所にいた妻がやってきました。
「どうしたの?」
「この前売った株、覚えてる?」
「うん。やっと売れたって喜んでたやつ?」
「それがさ、今すごく上がってるんだよ」
「えっ、そんなに?」
妻は驚いた様子で画面をのぞき込みました。そして、僕の顔を見ると、少し笑いながら言いました。
「あなたが売ると上がるのね」
「いや、それはたまたまだろ」
「じゃあ次は、売る前に教えてね」
「もう勘弁してくれよ」
妻は楽しそうに笑っていましたが、僕としては笑えません。何年も待ち続けた株が、手放して間もなく大きく値上がりするとは思ってもいなかったからです。
翌日、妻が台所で手帳に何かを書き込んでいました。
「何を書いてるの?」
気になってのぞいてみると、そこには僕がこれまで「もう上がらない」と言っていた会社の名前が、いくつも並んでいたのです。
「…それ、参考にするつもり?」
妻は笑いながら、手帳を閉じました。
どうやら僕の「もう上がらない」という言葉は、妻には別の意味で参考になるようです。
僕は苦笑いするしかありませんでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本記事は、読者から寄せられた体験談をもとに構成したものであり、特定の銘柄への投資や株式の売買を推奨するものではありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














